事件の基本情報
| 裁判所 | 札幌地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(わ)277 |
| 判決日 | 2023-11-14 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点に対する判断) 第1 事案の概要及び審理経過等 1 本件公訴事実の要旨は、罪となるべき事実と同旨である。 2 差戻前第一審では、殺意の有無と責任能力の程度が争点となったところ、被 告人の完全責任能力は認めたものの、以下の理由から殺意があったとは認定で きず、傷害罪が成立するにとどまると判断し、被告人を懲役2年に処した。 ○ 被告人は包丁を強く握りしめて骨盤が貫通するほどの相当な強い力で被害 者を刺したと考えられるので、被害者の手を振り払った勢いで偶然包丁が刺 さったとは考え難く、被告人が意図的に力を込めて被害者を刺した。 ○ 被告人が、同等の体格の被害者に後ろから両手首をつかまれた状態から手 を振りほどき、体を左回転させてその勢いのまま左臀部のうち骨盤の上付近 に水平に包丁を刺していることからすると、被告人は、少なくとも、包丁が 被害者の左臀部である腰付近の体側部に刺さる可能性は認識していた。しか し、その範囲を超えて、重要な臓器が密集する腹部に刺さることまでは認識 していなかった疑いが残る。 ○ 左臀部である腰付近の体側部には、硬い骨である骨盤があり、腹部のよう に重要な臓器が密集しているわけではないから、そのような部位を包丁を用 いて強い力で刺すことは、人が死ぬ危険性の高い行為であると一般的に認識 - 2 - されているとまではいい難い。 ○ そうすると、被告人が、被害者を刺した時点において、人が死ぬ危険性の 高い行為であると分かっていたと認定することはできないので、被告人に殺 意があったと認定することはできない。 3 これに対して検察官が控訴したところ、控訴審は、以下の理由から、差戻前 第一審判決の判断には、判決に影響を及ぼす事実誤認があるとして同判決を破 棄し、本件を札幌地方裁判所に差し戻した。 ○ 被告人が、包丁を強く握りしめて、骨盤が貫通するほどの相当な強い力で、 意図的に力を込めて被害者を刺したとの判断は、不合理ではない。 ○ しかし、被告人が本件包丁で被害者を刺すまでの両者の動きをみてみると、 被告人には、被害者の具体的な位置や姿勢・体の向き等を確認して、包丁を 刺す箇所を調整するような時間的余裕は全くなかった。また、被害者が様々 な行動をとることも想定されるので、刺す箇所の狙いを定めることは容易な らざる状況にあった。したがって、被告人が包丁の刺さる箇所を特定の箇所 に調整することは相当困難であって、被告人がこれを具体的に認識すること もまた相当に困難であった。 ○ また、D医師の証言や被害者の診察をした医師の説明等を踏まえると、包丁 が刺さる可能性のある範囲には、重要な臓器が密集する腹部も含まれると認 めるのが相当であるし、被告人の認識がこれと異なるものであったことをう かがわせる事情もない。 ○ 行為者が包丁で相手を刺した際に、包丁
主文(判決文より)
被告人を懲役6年に処する。 差戻前第一審における未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 札幌地方検察庁で保管中の包丁1本(令和3年領第688号符号2)を 没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。