現住建造物等放火、殺人被告事件

事件の基本情報

裁判所札幌地方裁判所
事件番号令和5(わ)27
判決日2025-09-17
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は、責任能力である。すなわち、被告人は、本件犯行当時、自分
がやろうとしていることの善悪を識別でき、その識別に従って自分の行動をコ
ントロールできる能力がどの程度低下していたかが争点である。
検察官は、起訴前鑑定を担当した証人D(以下「D医師」という。)が証言
した鑑定結果(以下「D鑑定」という。)に依拠して、被告人は犯行当時完全
責任能力であったと主張する。これに対し、弁護人は、裁判員法50条による
鑑定人E(以下「E医師」という)が証言した鑑定結果(以下「E鑑定」とい
う。)に依拠して、被告人は犯行当時心神喪失であった疑いが残ると主張する。
当裁判所は、本件犯行当時の被告人の精神障害及び当該精神障害が本件犯行
に与えた影響の仕方(機序)について、E鑑定が述べるところを排斥できない
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ので、E鑑定に依拠して責任能力の有無及び程度を検討した結果、被告人は本
件犯行当時心神喪失であった疑いが残ると判断した。以下ではその理由を詳述
する。
第2 D鑑定及びE鑑定の要旨並びにこれらに対する評価
1 D鑑定及びE鑑定の要旨
⑴ 検察官が依拠するD鑑定の要旨は次のとおりである。
被告人は、本件犯行当時、せん妄を発症していた。
被告人には、令和4年9月22日頃(以下、日付のみの記載は令和4年9
月を指す。)から28日頃にかけて、せん妄の影響で、本件施設の部屋で死
体を見たとの幻視及び死体の解体に入居者であるBが協力しているとの幻聴
が生じており、本件犯行時にはこの幻視と幻聴が記憶として残っていたとこ
ろ、従前より被告人がAや本件施設に抱いていた強い不満や不信感、被告人
の物事をゆっくり深く考えない傾向、客観性に欠け主観が強い傾向等から、
Aらが被告人の娘や孫を殺していて、次は被告人が殺されるという妄想様観
念を抱くようになった。本件犯行当夜(29日夜から30日未明のことをい
う。以下同じ。)、被告人は、「(被告人の名前)、表出てこい。」という
脅かしのような声や廊下を歩く足音の幻聴を聞き、自分が殺される前に殺そ
う、娘や息子の仇を取ってやろうと思って本件犯行を決意したものであるが、
本件犯行を決意後に何らかの精神症状が本件犯行に影響したことを示す明ら
かなものはなかった上、注意・記憶の障害、見当識の障害はほとんどなく、
その頃の被告人の幻覚妄想は一定で関連性のあるものになっていたことから、
本件犯行当時の被告人には意識障害の症状はほとんどみられず、せん妄の症
状は軽減傾向にあった。
⑵ 弁護人が依拠するE鑑定の要旨は次のとおりである。
被告人は、本件犯行当時、急性一過性精神病性障害を発症していた。
被告人は、24日頃から出現した幻覚妄想により、Aやその仲間が被告人
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の娘や孫を殺害し、さらに住人を次々に殺害して解体していると思い込むよ
うに

主文(判決文より)

被告人は無罪。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。