事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成21(ワ)2166 |
| 判決日 | 2010-06-02 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及び争点についての当事者の主張 (1) 本件内々定によって,労働契約が成立しているか。 【原告の主張】 ア 採用内定の法的性質については,これによって始期付解約権留保付労働 契約が成立するものと解される。 採用内々定とは,大学及び産業界との旧「就職協定」(平成9年度に廃 止)及び現「倫理憲章」上の採用内定開始日(10月1日)よりも前に企 業が学生に発していた主に口頭での採用約束であり,倫理憲章に表立って 違反することを回避するために,正式な内定通知は採用内定開始日に書面 で行いつつ,先んじて学生と採用・入社を合意しておくためのものである。 しかし,労働契約は,申込みと承諾があれば,特段書面を要することな く口頭でも成立するものであるから,内々定であっても申込みと承諾とい う意思の合致があれば,内定と同様に労働契約の成立を認めるべきである。 内々定についての学生側,使用者側,労働行政側の意識は,内定と内々定 とを区別しておらず,このことは社会的にも承認されている。 イ 本件内々定についてみると,原告は,被告の適正試験と面接試験を受験 して求人に応募し(労働契約の申込み),同年5月30日,本件内々定通 知によって最終面接合格の結果が伝えられた(上記申込みに対する承諾) - 3 - というのであり,入社承諾書の提出とあいまって,原告と被告との間に, 就労始期を平成21年4月1日として,それまで解約権を留保した労働契 約が成立したものと解するのが相当である。 実質的に考えても,原告が本件取消通知を受け取ったのは,採用内定通 知書授与の2日前で,倫理憲章の採用内定開始日の前日であったのであり, たった1日,2日の違いで法的保護に大きな差異をもうけるのは不合理で ある。 ウ したがって,本件内々定により労働契約が成立しているから,本件内々 定取消しはその一方的解約(解雇)であり,これが適法だと認められるの は,採用内々定当時知ることができず,また,知ることが期待できない事 実が後に判明し,しかもそれにより採用内々定を取り消すことが,解約権 留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的で社会通念上相当として是認 できる場合に限られる。 そして,採用内々定者は,現実には就労していないものの,当該労働契 約に拘束され,他に就職することができない地位に置かれているいるので あるから,本件のように企業が経営の悪化等を理由に留保解約権の行使 (採用内々定の取消し)をする場合には,いわゆる整理解雇の有効性判断 に関する要件を総合考慮の上,解約権留保の趣旨,目的に照らして客観的 に合理的と認められ,社会通念上相当と是認することができるかどうかを 判断すべきである。 【被告の主張】 本件内々定では始期付解約権留保付労働契約が成立したとはいえない。 内々定は複数の企業からもらうことができる
主文(判決文より)
1 被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成20年10月1日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余は被告の負 担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
出典
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