損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所福岡地方裁判所
事件番号平成22(ワ)617
判決日2011-02-24
分類民事
判決文が挙げた条文憲法13条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
(1) 原告らに①適正な刑罰権の迅速な実現を期待する権利又は②自己に被害を
与えた犯罪及び犯罪者についての重要な具体的事実を知る権利があるか(被
侵害利益の有無)
(2) 被告が上記(1)の権利ないし利益を侵害したか
(3) 損害の発生及び額
3 争点に関する当事者の主張
(1) 被侵害利益の有無
(原告らの主張)
ア ①適正な刑罰権の迅速な実現を期待する権利並びに②自己に被害を与え
た犯罪及び犯罪者についての重要な具体的事実を知る権利は,いずれも,
犯罪被害者が個人として尊重される(憲法13条前段,犯罪被害者等基本
法(以下「基本法」という。)3条1項)ために不可欠な人格権の内実をな
すものである。
イ 原告らは,Cの犯罪行為により重大な被害を被った被害者であり,この
ような原告らが犯罪者であるCに対する厳しい処罰を望むのは,人として
当然のことであって,この応報感情が満足されることなくして,犯罪被害
の回復が図られることはあり得ない。しかし,私的な復しゅうを禁止し,
罪刑の均衡を要求する近代刑法下にあっては,犯罪被害者は,刑事司法作
用による適正な刑罰権の実現を通じて応報感情の充足を図るほかはないか
ら,犯罪被害の回復を必要とする犯罪被害者が個人として尊重されるには,
適正な刑罰権の実現が必要不可欠であるが,結果的にそれが果たされたと
しても,それまでの間,犯罪被害者は,近代刑法によって制約される応報
感情の充足すら享受できない立場に置かれ,無力感にさいなまれることに
なる。適正な刑罰権の実現が遅延することは,何ら適正な手続を経ること
なく法益を侵害された犯罪被害者に対し,更なる苦痛を与えることにほか
ならない。犯罪被害者が適正な刑罰権の迅速な実現を期待するのは当然で
あって,その個人の尊厳を確保するには,上記期待を法的権利として承認
する必要がある。これを否定するときは,正当な理由がなく適正な刑罰権
の実現が遅延しても,犯罪被害者は法的な救済を受けられないことになる
が,かかる事態を容認すべき理由は全く見当たらない。
ウ Cは,飲酒運転により本件事故を起こした。本件事故発生時,Cがその
身体に保有していたアルコールの具体的濃度は,刑罰権の有無及び範囲に
関わる重要な事実であるから,犯罪被害を回復するために適正な刑罰権の
実現を必要とする犯罪被害者は,適正な刑罰権の実現がされたことを納得
するために,当該事実の具体的な内容を知る必要がある。また,犯罪被害
者が,自己に被害を与えた犯罪はいかなる態様であったか,なぜ犯罪被害
を受けなければならなかったか,自己に犯罪被害を与えた犯人は何を考え,
いかなる経緯で,いかなる状況で犯行に及んだのかなど,種々の疑問を抱
き,自己に被害を与えた犯罪及び犯罪者についてできる限りの情報を得よ
うとするのは人として当然

主文(判決文より)

1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。