損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所福岡地方裁判所
事件番号平成28(ワ)526
判決日2018-06-29
分類民事
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
(1) 被告の除外診断義務違反の有無
(2) 被告の療養指導義務違反(経過観察義務違反)の有無
(3) 原告の損害の有無及び額
3 争点⑴(被告の除外診断義務違反の有無)に関する当事者の主張
(1) 原告
ア 以下のとおり,被告は,本件各受診時に,子宮蓄膿症を除外診断する義
務があったにもかかわらず,これを怠った。
イ 犬の子宮蓄膿症は,生理後二,三か月で起こりやすく,中年期以降では
頻繁に見られ,日常診療で比較的よく遭遇する疾患である。子宮蓄膿症は,
膿が子宮内にたまる閉鎖型の時期と,子宮から体外に排出される開放型の
時期が繰り返されるものがある。膿が子宮内に貯まる閉鎖型の時期には,
短期間で子宮破裂や腹膜炎,敗血症,エンドトキシンショック,多臓器不
全,DIC等の重篤な合併症を併発し,致命的転帰を取る可能性があるの
で,その疑いがある場合には,これを除外するために十分な検査を施行す
べき義務がある。そして,子宮蓄膿症が鑑別できれば直ちに子宮摘出術が
必要である。
子宮蓄膿症は,生理休止期又はその直後における臨床症状の発現,腐敗
性の陰門排出物の存在及び子宮の腫大により,強く疑診される。そして,
腹部エコー検査等により,液体の充満した子宮を確定し,妊娠を排除する。
また,一般血液検査において,左方移動した好中球が見られる場合には,
子宮蓄膿症を子宮粘液症から区別される。なお,子宮蓄膿症の場合,総白
血球数が10万ないし20万/μlに達することがあり,また,膣細胞診
では腐敗性の滲出物が見られ,時に子宮内膜細胞が含まれている。
ウ A 号は,以下のとおり,7月の受診時,子宮蓄膿症を発症していた。
A 号は,平成26年当時,未経産で8歳であり,子宮蓄膿症発症の
危険因子があった。平成23年3月12日の診療録には,既に,子宮蓄膿
症を警戒すべきである旨の記載があり,被告は,その頃から, A 号に
対し,子宮蓄膿症を警戒すべきであるとの認識を有していた。
そして,5月の受診時に実施されたエコー検査では,子宮内液体貯留
が描出されていた。これは,子宮蓄膿症を疑わせる所見であり,5月の
受診時における出血所見と併せて考えれば,被告は,子宮蓄膿症の鑑別
又は除外のために,血液検査,おりものをスライドで顕微鏡下に観察す
る検査,レントゲン検査等が行われるべきであった。
エ 6月の受診時においても,血液検査,出血した血液の採取,腹部への触
診のいずれも行われなかった。また,再診の指示もなかった。
オ 7月の受診時, A 号は,出血で本件病院を受診した。
その際,原告及びその夫は被告に対し,子宮・卵巣が本当に大丈夫なの
か質問し,これに対し,被告は,本当に子宮が悪ければ15歳のダックス
フンドでも摘出手術する旨回答した。そして,原告及びその夫が念のた
め看護師に手術の費

主文(判決文より)

1 被告は原告に対し,59万3952円及びこれに対する平成28年2月
26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを5分し,その3を原告の負担とし,その余は被告の負
担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。