事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(わ)1385 |
| 判決日 | 2018-10-25 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は,殺意及び責任能力の有無,程度である。 2 関係証拠によれば,被告人は,刃体の長さ約17cmの包丁を用い,これによ り被害者の右胸部に深さ約16.5cmの刺創を生じさせたこと,その際被害者が ほとんど動いていなかったことが認められる。そうすると,身体の枢要部を狙って 相当の力をこめて十分な殺傷能力のある包丁で刺すという死の危険性が高い行為に 及んでいるといえ,後記のとおり本件犯行に精神障害の影響はなく,他に被告人が 当該行為の危険性について認識を欠くような事情もうかがえない。そうすると,被 告人が殺意を有していたことは優に認められる。 3⑴ 鑑定人であるE医師は,要旨次のように供述する。本件犯行時,被告人には, 統合失調症(覚せい剤精神病の遷延持続型)といった精神障害等があるが,本件犯 - 1 - 行は,口論の延長線上で発生したもので,一連の推移には連続性があって現実との 関連も失われていない。「本件犯行時に怨霊に操られていた」という被告人の公判 での弁解は,犯行後にこれを説明又は合理化するため生じた妄想追想と説明でき, 本件犯行と精神障害との関連性は認められない。 ⑵ そして,以下のとおりその鑑定結果は合理的かつ正当である。 まずAの供述を含む関係証拠によれば,被告人が,本件犯行の数時間前,被害者 やAから早く寝るよう言われた後,自らの首に包丁を当てて「死のうと思いよっ た。」と言ったところ,被害者から「死にきらんくせに。俺も殺しきらんやろうが。 するんやったら,どこか外に行ってしてこい。」「ちいねえちゃん(被告人の元交 際相手のF)のところに明日から行け。」などと言われたこと,犯行直前,被害者 から,寝られないから電気を消せなどと言われたことに端を発し,更に被害者から 「お前表出れ。」と言われ,「出ちゃるわ。」などと返答して,けんかになりそう な事態になったこと,その直後に本件犯行に及び,更に被害者の顔面を蹴ったが, その後,被害者の傷口を押さえ,「兄ちゃんごめんね,こんなんなるんよ。」など と述べたことが認められる(なお,被告人は,捜査段階の供述調書(職4)におい て,本件犯行前に被害者に顔を殴られたとしている。しかし,被告人は,公判にお いて,捜査段階では被害者を悪く言って自己の責任を軽くしようという意図から虚 偽を述べていたものであると説明しており,現に,前記供述調書の他の部分は,包 丁が誤って被害者に刺さってしまったという本件犯行態様と相違する内容になって いるというのであり,前記供述調書の信用性には疑問が残る。)。これらを前提と すれば,被告人は,自己の意に沿わない被害者の発言から,同人と口論となり,前 記のとおりけんかになりそうな事態になるなどした末,本件犯行に至ったのである から,これらの被害者の言動に怒りを募らせたものと見るこ
主文(判決文より)
被告人を懲役15年に処する。 差戻前第1審における未決勾留日数中220日をその刑に算入する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。