事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成25(ワ)3085 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は,①本件過失と原告の後遺障害との因果関係の有無(争点1), ②損害額(争点2)及び③弁護士費用部分に係る不法行為に基づく損害賠償請 求権の消滅時効(争点3)である。 1 本件過失と原告の後遺障害との因果関係の有無(争点1) (原告及び補助参加人の主張) (1) 原告の主張 ア 本件過失により,原告の脳腫瘍が拡大し,水頭症を発症したことで,原告 には記銘力障害・頭痛・めまい・認知症様症状・左上下肢の機能障害等の症 状が生じた。原告の障害は,本件手術前から認められ,その原因は,増大し た脳腫瘍,脳外科手術の合併症,合併症として続発した水頭症による脳損傷 の複合であり,これらの合併症は,脳腫瘍が顕著な水頭症を合併するまで増 大したことによる不可避的かつ連続的な経過である。 脳腫瘍が小さいときにはより侵襲性の低い手術以外の治療法選択の余地が あり,また腫瘍の大小が手術の難易度や予後に影響を与えることは自明であ り,脳腫瘍の増大がなければ,脳外科手術による合併症や術後合併症として の水頭症を避けることができたし,水頭症の治療として実施されたシャント 術を受けることもなかった。 イ 被告の主張について (ア) 水頭症は,平成18年10月の頭部CT検査時には脳腫瘍に伴う 不可避的な合併症ではなかったが,その後被告が脳腫瘍を長期間放置し たことによって脳実質を圧迫・損傷又は不可避的合併症である水頭症を 発症させたにすぎない。 また,本件手術により術前の水頭症の症状に一時的な改善がみられた ことが,脳室内からくも膜下腔へ至る経路の閉塞が解消されたことによ るものか明らかではないし,術後の水頭症が閉塞性か交通性かも明らか でない。 (イ) 本件手術についても不適切な点はなかった。脳腫瘍摘出術において, 可及的全摘を目指すことは当然であるし,客観的な資料である画像から補 助参加人医院における手術手技の不適切な点は認められず,本件手術の 際に脳弓が損傷したという被告の主張は憶測にすぎない。また,即時記 憶の変遷のみから因果関係の有無を判断することは医学的にも誤りであ る。 (ウ) シャント感染は,シャント術の典型的な合併症であり,因果関係 を遮断する事情とはいえない。また,原告の症状は本件手術前から認め られていたものであり,原告の現在の症状はシャント感染に伴う水頭症 が悪化したためであるとの被告の主張は,原告の症状の経過の一場面を 切り取ったものにすぎない。 (2) 補助参加人の主張 ア 本件手術について (ア) 本件手術の際に,D医師が原告の脳弓を損傷したということはない。 即時記憶が術後に著しく低下したとの評価自体,明確なものとはいえな いし,仮にそうであっても,それだけで本件手術により脳弓を損傷したと
主文(判決文より)
1 被告は,原告に対し,1億5748万2705円及びこれに対する平成 23年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の 負担とし,補助参加によって生じた費用は,これを5分し,その1を補助 参加人の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
出典
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