損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所福岡地方裁判所
事件番号平成30(ワ)3348
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法709条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点(1)(本件取得行為の違法性の有無)について
(1) 個人に係る情報が開示,取得される等した場合に,これがプライバシー侵
害として不法行為を構成するか否かは,当該情報の性質,内容と侵害態様の違
法性を相関的に考慮し,当該行為より生じた精神的苦痛が社会通念上受忍すべ
き限度を超えるものか否かによるものと解される。
(2) そこで,まず,本件個人情報について見ると,本件取得行為により被告が取
得した原告の情報は,本件懲戒申立てによりあらかじめ被告が知っていた原告
の住所,氏名のほか,本籍地,生年月日,従前の住所,世帯の情報等(以下,
これらを併せて「本件個人情報」という。)である。これらは,被告にとって,本
件取得行為によらなければ直ちには知ることができない情報であり,他方,原
告にとっては,氏名及び住所のみならず,生年月日等により個人として特定さ
れ,居住歴等を含めて,人格的な利益を損なうおそれを生じ得る情報であって,
みだりに開示され,流通することを望まないものである。そして,住民基本台
帳法が,住民票の写し等の請求をすることについて,一定の要件を設け(住民
基本台帳法12条以下),住民票の写しの請求が不当な目的によることが明ら
かな場合には市町村長がこれを拒むことができ,偽りその他不正の手段による
住民票の写しの取得に対して罰則規定(同法46条2号)を設けており,個人
に関する情報が適切に管理されることを想定していることからすれば(住民票
の写し等職務上請求書においても,「本請求書は,個人情報保護の重要性に鑑
み,慎重に取り扱い,購入された会員以外ご使用にならないようお願い致しま
す」との注意書きが付記されている(甲1)。),本件個人情報について,原告
が,自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは
自然であり,住民基本台帳において適切に管理されることにより,自己が欲し
ない他者にはみだりに開示されないものと期待するのも当然であるところ,こ
の期待は保護されるべきものである。したがって,本件個人情報は,プライバ
シーに関する情報として法的保護の対象となるというべきである。
(3) 次に,本件取得行為について見ると,これは,弁護士である被告が,本来
の要件を満たすものではないのに,虚偽の申立てをして本件住民票を取得した
というもので,前記のとおり,住民基本台帳法が定める要件を意図的に潜脱す
る違法なものである。ことに,住民基本台帳法が,特定事務受任者として,特
別に要件を定めた弁護士の資格を利用して行っていることからすれば,法及び
社会の信頼を損ねるものというほかない。
この点,被告は,原告が被告を対象弁護士として行った懲戒申立て(別件懲
戒申立て)に対して,本人および家族に危険が及ぶことを避けるために懲戒請
求者の情報を知りたい

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,1万1000円及びこれに対する平成30年11月2日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを160分し,その159を原告の,その余を被告の各負担
とする。
4 この判決は,第 1項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。