建造物侵入,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反

事件の基本情報

裁判所福岡地方裁判所
事件番号平成30(わ)1145
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点に対する判断)
第1 争点
本件において,被告人が,本件犯行当時,中等度の自閉スペクトラム症を有
していたことについては当事者間に争いがない。しかし,検察官は,起訴前に
被告人の精神鑑定を行ったE医師の見解を前提に,自閉スペクトラム症の本件
犯行への影響は限定的であり,被告人は完全責任能力を有していたと主張する
のに対し,弁護人は,E医師の見解の信用性自体は積極的には争わないが,被
告人は,本件犯行当時,心神耗弱の状態にあったと主張している。
そこで,以下,E医師の見解を前提に,被告人の責任能力につき検討する。
第2 判断
1 判示のとおり,被告人は,「集団リンチ」を行っていると考えた者を罵倒する
内容の投稿を繰り返し行い,アカウントを停止する措置を取られても,新規の
アカウントを取得するなどして投稿を続けた。また,被告人は,いったん犯行
を決意すると,綿密に準備を行った上で被害者を執拗に攻撃して犯行を遂げ,
犯行後も犯行声明ともいうべき投稿を行うなどした。このように被告人が常軌
を逸した行動をとったことについては,病的なこだわりの強さや,物事や自身
の行為を様々な視点から検討したり,いったん思い込んだことを修正したりす
るのが困難であること,誰かに相談して物事を解決するコミュニケーション能
力が不足していることなど,自閉スペクトラム症の特徴というべき症状が影響
しているといえる。
2 もっとも,E医師は,自閉スペクトラム症は攻撃性を特徴とするものではな
く,被告人が被害者の殺害,攻撃を決意したことについては,被告人自身の性
格,人格によるとの見解を述べている。確かに,被告人は,本件以前には暴力
- 2 -
沙汰を起こしたことはなかったが,E医師は,被告人がインターネットの中で
他人を罵倒するなどの言動を繰り返していることを挙げ,そのような攻撃的な
言動は被告人本来の性格の一面が表れたものであり,本件犯行もその延長と見
られると説明している。
これに加え,被告人の犯行前後の行動を見ても,被告人は,犯行に及ぶ直前,
被害者の様子を見て殺害を躊躇したことが認められ,犯行後にも,自ら交番に
出頭して,警察に自首したことからしても,犯行時に明瞭な違法性の認識の下
で行動していたということができる。また,被告人は,犯行現場の下見を行う
など綿密に計画した上で,犯行現場に到着した後も,直ちに犯行に及ぶのでは
なく被害者の勉強会の状況を見て殺害の機会をうかがうなど,その場の状況に
応じて冷静に行動できていたといえる。この点に関し,E医師は,被告人は,
やむにやまれず犯行を行ってはいない,(精神障害の影響は)自分の意思で犯行
を行ったという感覚を損なうものではなかったなどと説明しているが,このよ
うな説明も,被告人が自らの行動をコントロールできていたことを示すものと
い

主文(判決文より)

被告人を懲役18年に処する。
未決勾留日数中240日をその刑に算入する。
福岡地方検察庁で保管中のレンジャーナイフ1本(同庁平成30年領
第3379号符号1-1)を没収する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。