事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(わ)1 |
| 判決日 | 2021-03-17 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は,覚醒剤を含む違法薬物の認識の有無及び共犯者らとの共謀の - 1 - 有無である。 第2 判断 1 密輸の態様 本件の密輸は,公海上まで船舶で向かい,海外から来た船舶と接触して覚醒 剤を受け取る瀬取りと呼ばれる方法で行われた。多額の費用を掛け,多人数が 関与して行われた大がかりな犯行であり,船舶に搭載する通信機器のほか,陸 揚げ後の運搬車両なども用意周到に準備している。1回失敗したにもかかわら ず2回目の密輸を敢行していることからしても,検挙された場合のリスクを恐 れずに大きな見返りを期待していたと考えられる。 このような犯行に関与するに当たり,被告人が,受け渡される物品につき, 禁制品,特に覚醒剤を含む違法薬物である可能性を想定していなかったとは考 え難いといえる。 2 被告人の関与の仕方や立場 被告人は,現地に入ったAとの間だけでなく,日本人グループの上位者と見 られるHとの間でも,Aを介して頻繁に密輸に関するメッセージのやり取りを 行っている(甲531)。それらのやり取りの内容を見ると,被告人は,密輸 全般に関与し,特に船の準備や経費の振込み等の肝心な場面では必ず発言して いる上,瀬取りに向かった船舶が日本に戻る際に燃料切れで漂流するなどの想 定外の事態が生じた際も,AとHの三者で協議しつつ対応していることが認め られる。この間,被告人が,Hを含め他の関係者の指示を受けて動いていた様 子は見受けられず,むしろ,東京に滞在したまま,Aを介して指示を出すこと で自らは捕まらないよう行動していたといえる。 これらからすると,被告人は,組織の中ではより上位者がいたのかもしれな いが,本件の密輸に関しては,責任者として全体を統括する首謀者的な立場に あったといえ,そのような立場にあった被告人が,密輸する物品が何かを知ら ずに関与していたとは考えられない。 - 2 - 実際に,被告人は,令和元年10月7日に焼肉店で瀬取りの実行犯であるB らと食事をした際に金もうけの話を繰り返しするとともに,自らは何年も前か ら同様の行為を行っていることを前提とする発言をしている(甲530)。こ れらの発言内容からしても,被告人は,密輸する物品が覚醒剤であることは十 分分かっていたと考えられる。 3 金であると信じていたとの弁解について 被告人は,法廷で,Hから頼まれた際に金の密輸と聞いており,荷物は金と 信じていた旨を弁解している。しかし,金の密輸により,10%程度の消費税 分の利益を得たとしても,共犯者らとの間で分配が必要であることからすれば, 費用対効果が見合わないと考えられる。特に,瀬取りの方法による密輸は,船 舶が沈没したり検挙されたりして荷物を失う可能性が高く,そのようなリスク が高い方法で金を運ぶとは考えにくいし,金の重量を考えると,本件で用いら れたよう
主文(判決文より)
被告人を無期懲役及び罰金1000万円に処する。 未決勾留日数中270日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは,金2万円を1日に換算し た期間被告人を労役場に留置する。 福岡地方検察庁で保管中の覚醒剤294袋(領置番号及び符号は別紙 記載のとおり)及び覚醒剤を含有する固形物1点(令和2年領第24 0号符号268-1)を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。