事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(わ)1020 |
| 判決日 | 2022-03-25 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は、低酸素性脳症の原因が急性リドカイン中毒か(争点①)、被告 人において、患児が急性リドカイン中毒を含む偶発症に陥っている可能性があ り、放置すれば死に至る可能性があることを認識し得たか(争点②)、及び適切 な処置を行っていれば患児の死を回避できたか(争点③)である。 当裁判所は、患児が低酸素性脳症に陥った原因は急性リドカイン中毒であり、 被告人において、患児が急性リドカイン中毒を含む偶発症に陥っている可能性 及び放置すれば死に至る可能性を認識し得、適切な処置を行っていれば患児の 死を回避することができたものであり、判示のとおり業務上過失致死罪が成立 すると判断した。以下、その理由を述べる。 第2 前提事実 証拠によれば、次の事実が認められる(いずれも年は平成29年を指す。)。 1 患児の治療経過 患児は本件当時2歳6か月であった。患児は、5月8日に本件歯科医院を初 めて受診し、複数の虫歯があると診断され、以来、6月10日まで、3回にわ たり、被告人が治療を担当した。初診の問診で患児に特段の既往症がないこと は確認されており、本件に至るまで麻酔薬は使用されていなかった。 7月1日に行われた治療の経過は次のとおりである(以下、時刻のみを表記 する場合は、同日を指す。)。 午後4時過ぎ頃、患児が両親に連れられて本件歯科医院に来院した。当日の 治療も被告人が担当する予定だったが、患児の来院が予定より遅れたため、非 常勤の歯科医師であるC(以下「C歯科医師」という。)が、被告人に代わって 患児の治療を担当することになった。C歯科医師は、被告人に対し、治療に当 たり麻酔薬を使用する旨述べ、被告人はこれを了解した。なお、麻酔薬がリド カインであることは被告人も認識していた。 午後4時18分頃、患児が診察室に入室した。歯科衛生士F(以下「F衛生 士」という。)及び同G(以下「G衛生士」という。)が、まず患児を診察台に 乗せ、レストレイナーを被せて患児の身体を抑制した。 午後4時22分頃、F衛生士らが患児の口腔内にリドカインを主成分とする 貼付用局所麻酔剤(商品名ペンレステープ)を貼付し、表面麻酔をした。 午後4時25分頃、C歯科医師が、患児の左下丁の歯間乳頭部に4か所、右 下甲と左下甲の間の齦頬移行部に1か所、左下甲と左下乙の間の齦頬移行部に 1か所の合計6か所に、麻酔用注射器(シトジェクト)を用いて、リドカイン を主成分とする歯科用局所麻酔剤(商品名オーラ注カートリッジ)合計約1. 3mlを注射し、浸潤麻酔をした(乳歯を上顎と下顎に分け、それぞれ中央部 から左右の奥にかけて順に甲乙丙丁と表記して部位を特定した。)。 午後4時30分頃から午後5時5分頃にかけて、C歯科医師らは、所要の歯 科治療を順次行った後、咬み合わせの調整を行った。その後、C歯科医師は、 被告
主文(判決文より)
被告人を禁錮1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。