現住建造物等放火未遂

事件の基本情報

裁判所神戸地方裁判所
事件番号平成23(わ)23
判決日2011-12-14
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,責任能力の程度,すなわち,犯行当時,被告人が心神耗弱の状態
ではなかったか否かである。
まず,被告人が犯行当時を含めて精神遅滞と広汎性発達障害の精神疾患を有して
いることには争いがなく,証拠上も明らかである。しかし,被告人の精神遅滞の程
度については争いがあり,捜査段階で鑑定を行ったC医師は,IQ値がWAIS-
Ⅲ知能検査では51と判定され,さらにその後行われた田中ビネー知能検査では4
2と判定されたこと等を踏まえて中等度と判断しているのに対し,医療観察手続の
中で鑑定を行ったD医師は,上記各IQ値のほかに,鑑定入院中の被告人の問診内
容や行動なども踏まえて軽度と判断しているところ,この点に関しては証拠上明確
な認定はできないといわざるを得ないが,少なくとも,被告人に軽度ないしは中等
度の精神遅滞があることは認められるのであって,被告人の犯行当時の責任能力が,
上記の精神疾患のため,その程度はともかくとして,減退していたことに疑いはな
い。
そして,関係証拠によると,被告人は,判示のとおりの経緯,動機により犯行に
及んでいるところ,実父らに対するうっ憤をはらすための手段として,実父らの使
用している車あるいは家の鍵を隠すことも考えた後,4年前に当時の自宅に放火し
たときの経験から,より実父らを困らせることができる手段として,自宅への放火
を選択していること,実父に放火を止められるのを防ぐため,実父が自宅から出て
玄関扉を閉めた機会を見のがさず,内側から鍵をかけて実父が自宅内に入って来ら
れないようにした上で放火に及んでいること,放火の際,そのすぐ足下に灯油入り
のポリタンクが置かれていることは分かっていたのに,自分や共同住宅の他の住民
に危害が及ぶのを避けるために,火の回りが早くなる灯油をあえて使用しなかった
こと,足ふきマット等を次々と燃え上がらせた後,煙で息苦しくなったものの,火
を完全に消そうとはせず,その勢いを少し弱めるために上記マット等に水をかけた
こと,その後,息苦しさにいよいよ耐えられなくなり,台所の窓を開けて外に向か
って助けを求めていること,以上の各事実が認められる。
上記のとおりの経緯,動機に基づいて犯行に及んでいる点は,十分に了解可能で
ある上,被告人による一連の行為は,実父らに対するうっ憤をはらすという目的を
確実に達成しようとする一方で,自分や他の住民に必要以上に危害が及ばないよう
配慮して行動するなど,周囲や犯行着手後の状況に応じた合理的なものといえる。
また,被告人は,本件の4年前にも当時の自宅に放火して服役したことがある上,
上記のとおり助けを求めた際,「私が火をつけました。今から警察に行きます。」
などと叫んでおり,捜査段階では取調官に対して放火は悪いことだと分かっている
旨述べていたほか,公判廷でも一応反省の

主文(判決文より)

被告人を懲役3年8か月に処する。
未決勾留日数中210日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。