殺人未遂,公務執行妨害,銃砲刀剣類所持等取締法違反

事件の基本情報

裁判所神戸地方裁判所
事件番号平成23(わ)357
判決日2011-12-22
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点に対する判断)
1 判示の殺人未遂の事実について,弁護人は,被告人には,Aに対する殺意はな
く,傷害罪が成立するにとどまる旨主張し,被告人もこれに沿う供述をしている
ので,以下検討する。
2 判示のペティナイフ(以下「本件ナイフ」という。)は刃体の長さ約12.3c
mの先端が鋭利な刃物であり,これによるAの左側胸部の刺創の深さは約8cm
で,それは左肺にまで到達し,左肺に2cmくらいの幅の傷が出来ていたこと,
しかも,本件ナイフの刃先は肋骨に当たって跳ね返された後,角度を下に変えて
肋骨の間を通って肺にまで到達したものであり,もし肋骨に当たらなければ,そ
の刃先は心臓にまで到達して致命傷になったのは確実であることが,いずれも証
拠上認められる。そして,A及びBの各公判供述等によれば,被告人は,判示の
区役所で被告人に応対したAに向かって,上記のとおり殺傷能力が十分な本件ナ
イフを右手に逆手で持ち,受付カウンター越しにいきなりこれを振り下ろしたこ
と,その後,Aは被告人の右腕を両手でつかむなどして必死に抵抗したが,これ
に対して被告人は,本件ナイフの刃先をAに向けた状態のままAの胴体に向かっ
て体重をかけるようにして攻撃を加え続けていたことが認められる。なお,Aの
抵抗に対し,被告人が本件ナイフを持った右腕をAに向かって押し込もうとした
ことがあったことは,被告人自身も認めるところである。
ところで,被告人は,Aの腕を刺す意思しかなく,本件ナイフを順手に持ちA
に示したところ,Aから右腕をつかまれたためこれを振り払おうと右手を前後に
動かすなどしてもみ合う中で,本件ナイフがAの左側胸部に刺さった旨公判廷で
供述しているが,被告人がAから右腕をつかまれた後,少し移動した場所で他の
3人の職員らによって取り押さえられるまで,Aの胴体に対し執ように攻撃を加
え続けていたことは,Bら複数の目撃者の供述から明らかであり,Aの腕を刺す
意思しかなかったとは到底思えないし,被告人の供述する刺突状況は,Aの上記
刺創の状況とも整合しない上,被告人の捜査段階の供述との間でも一貫性がない
など,明らかに信用できない。
3 上記2の認定事実によれば,本件ナイフがどの時点でAの左側胸部に刺さった
のかは必ずしも特定できないものの,被告人は,Aの胴体めがけて本件ナイフを
終始力を込めて刺そうとしていたことが明らかというべきである。そうすると,
本件ナイフを身体の枢要部である左側胸部に突き刺すという被告人の行為が,外
形的にみて,人が死ぬ危険性のある行為で,しかもその危険性が高いことは明ら
かである上,被告人においても,そのような行為であると認識しながら本件犯行
に及んだことも認められる。
4 以上によれば,本件犯行時において,被告人にAに対する殺意があったことが
認められる。
(法

主文(判決文より)

被告人を懲役7年に処する。
未決勾留日数中160日をその刑に算入する。
押収してあるペティナイフ1本(平成23年押第23号の1)を没収する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。