国家賠償等請求事件

事件の基本情報

裁判所神戸地方裁判所 姫路支部
事件番号平成25(ワ)611
判決日2017-12-11
分類行政
判決種別判決
判決文が挙げた条文国家賠償法1条、国家賠償法1条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及びこれに対する当事者の主張
1 争点1(安全配慮義務の有無)について
(原告の主張)
受刑者と刑務所との間には特別な社会的接触関係があり,被告は,受刑者に
対し,刑罰以上の苦痛を与えず,その生命,身体の安全に配慮すべき義務を負
う。これを安全配慮義務と呼称するかどうかは別にして,被告は受刑者に対し
て刑罰権の行使以上にその生命,身体の安全を害さない義務を負っている。こ
のことは,①多くの下級審裁判例が,受刑者は被告が提供する医療しか受けら
れない環境に置かれていることから,被告は診療契約が締結されている場合に
準じた治療義務を条理上負うとして安全配慮義務を認めた他,②被収容者の健
康の保持,回復は,改善更生のための第一歩であるところ,被収容者は強制的
に身体を収容されていることから,疾病の治療を自身の力だけで成し遂げるこ
とは困難であり,矯正施設は,被収容者の健康管理について責任を負うとこ
ろ,これに要する費用は全て国庫負担となることから,法務省矯正局は,社会
一般の医療水準に照らして被収容者に対し適切な医療上の措置を講じる義務が
あると認め,③原告が収容されていた神戸刑務所の医務部長も,被収容者は強
制的に身体を収容されることから,被収容者に対して適切な医療を行うこと
が,被収容者の改善,更生のために必要であり,それが被告の責務であること
を認めていることからも明らかである。
被告は,原告の生命,身体等を侵害しないよう配慮すべき義務に違反し,後
記3(原告の主張)記載のとおり,原告の上腕に後遺障害が残存することとな
ったから,債務不履行責任を負う。
なお,被告が引用する最高裁判所平成28年4月21日第一小法廷判決・民
集70巻4号1029頁参照(以下「最高裁平成28年判決」という。)は,
被勾留者に関するもので,未決勾留は,法律の規定に基づき,逃亡又は罪証隠
滅の防止を目的として,被疑者又は被告人の居住を刑事施設内に限定するもの
であるのに対し,本件は受刑者に関するものである。そして,被告は,受刑者
に対して,刑事施設の安全及び秩序を維持するとともに,受刑者の自傷行為等
を防止し受刑者の身体の安全を確保する目的で,戒護権を行使することが許さ
れており,被勾留者と受刑者とではその立場が異なるから,受刑者に対する関
係では最高裁平成28年判決の射程は及ばず,被告は,受刑者の生命,身体の
安全を確保し,危険から保護すべき義務を負っている。
(被告の主張)
争う。
安全配慮義務について,最高裁判所昭和50年2月25日第三小法廷判決・
民集29巻2号143頁参照(以下「最高裁昭和50年判決」という。)は,
不法行為規範の下における私人に対するその生命,健康等を保護すべき義務と
は別に,「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間
において,当

主文(判決文より)

1 原告の主位的請求を棄却する。
2 被告は,原告に対し,2802万0188円及びこれに対する平成22年8
月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の予備的請求を棄却する。
4 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担
とする。
5 この判決は,本判決が被告に送達された日から14日を経過したときは,第
2項に限り,仮に執行することができる。ただし,被告が2250万円の担保
を供するときは,この仮執行を免れることができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。