各認知請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号令和4(ネ)1585
判決日2022-08-19
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文民事訴訟法266条、民法772条、民法779条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は、いずれも凍結保存精子を用いた生殖補助医療により出生し、
被控訴人との間で生物学的な父子関係が認められる控訴人らが、本件審判によ
って民法その他の法令の規定の適用についてその性別が女性に変わったものと
みなされた被控訴人に対し、それぞれ認知を求める法的地位(形成権である認
知請求権を行使し得る法的地位。以下、単に「認知請求権」ということがある。)
を有するか否かである。
4 当事者の主張
(控訴人らの主張)
被控訴人は、▲▲▲年に交際相手であった控訴人ら母に対して、被控訴人
の凍結保存精子を提供し、これによって控訴人ら母は懐胎し、▲▲▲年▲月
に被控訴人の子である控訴人長女を出産した。また、被控訴人は、本件審判
が確定した後である▲▲▲年に、控訴人ら母に対して被控訴人の凍結保存精
子を提供し、これによって控訴人ら母は懐胎し、▲▲▲年▲月に被控訴人の
子である控訴人二女を出産した。本件鑑定書によれば、控訴人らと被控訴人
が生物学的な父子関係にある旨の結果が出ている。
被控訴人は控訴人らの認知を望んでいるが、Aが本件各認知届出を不受理
とするなどしたため、被控訴人が控訴人らを認知することができない状態に
置かれ、また、控訴人らも被控訴人から認知されないことにより、被控訴人
との間の法律上の親子関係を形成することができず、著しい不利益を被って
いる状態にある。
法律上の親子関係が認められないことによって控訴人らが失う利益は、監
護・教育・扶養を受ける権利、被控訴人の相続人となる利益、自己の出自を
知る権利といった極めて重大なものであり、最大限尊重されなければならず、
これらは、養子縁組制度によっては代替できるものではない。養子縁組では、
子が15歳未満であれば、実親と養親の協議によって離縁される可能性があ
り、実親子関係と比較して不安定な親子関係しか形成することができない。
また、控訴人らは、他の男性からの認知を防ぐことができないのであって、
望まない認知が行われた場合、事後的に控訴人らから認知無効の訴えを提起
しなければならないという不利益を生ずる。
他方、被控訴人は、控訴人らの主張を争わず、むしろ認知を望んでおり、
血縁上の親子が既に家族としての社会的実質を備えている。控訴人らと被控
訴人との間に法律上の親子関係を認めたからといって、第三者が何らかの影
響を被るものではなく、また、何らの公益に反するものでもない。
Aは、本件各認知届出を不受理とした理由として、本件各認知が特例法4
条1項の規定に反する点を挙げるが、戸籍上の記載における「父」という概
念が必ず法律上の「男」でなければならないという規定は民法にも戸籍法に
も特例法にも存在しない。現行法においては、既に「女である父」や「男で
ある母」の存在が認められており、「父」が絶対に法律上の「男」で

主文(判決文より)

1 控訴人長女の控訴に基づき、原判決中、控訴人長女の敗訴部分を取
り消す。
控訴人長女が被控訴人の子であることを認知する。
2 控訴人二女の控訴を棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを2分し、その1を控訴人二女
の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。