損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所名古屋地方裁判所
事件番号平成29(ワ)3934
判決日2018-06-22
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文国家賠償法1条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
⑴ 本件抹消処分は国家賠償法上違法であるか
⑵ 原告の損害
4 争点に関する当事者の主張
⑴ 争点⑴(本件抹消処分は国家賠償法上違法であるか)について
(原告の主張)
ア 被収容者に差し入れられた書籍等に,死刑の執行方法や手順,被執行
者の身体の取扱方法が記載されていたとしても,客観的な記述がなされ
ているにすぎず,それ以上に被執行者の執行時の心情や状況等の描写を
含むものでない場合は,拘置所長は当該記述部分を抹消すべきではない。
そして,本件各抹消部分は,被執行者の執行時の心情や状況等の描写を
含むものではないから,抹消されるべきものではない。
イ また,原告の自殺未遂事件は,本件抹消処分から約16年前の出来事
であり,その後,原告が自殺や自傷行為に及んだことは一度もなく,精
神薬を服用していたこともないのであるから,原告が精神的に不安定で
あった事実はない。また,原告の自殺未遂事件から本件抹消処分がなさ
れるまでの間に原告に差し入れられた他の書籍等にも,死刑の執行方法
等に関する記述があったが,原告はこれを閲覧しても自殺や自傷行為に
及ぶことはなかった。
したがって,原告が本件各抹消部分を閲覧することにより,刑事施設
の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあったとはいえない。
ウ よって,名古屋拘置所長の本件抹消処分は,正当な理由なくされたも
のであるから,その裁量権を逸脱濫用したものであり,違法である。
(被告の主張)
ア 死刑確定者がおかれた心情の状態については,常に極限状態にあり,
いついかなるきっかけで急変するかもわからないものであるから,刑事
施設の長において,常に留意しなければならない。そして,死刑確定者
が,執行までの間に自殺したり,その執行に際して暴れたりするなどし
て抵抗した場合には,刑事施設の規律及び秩序を害する結果となること
は明らかである上,死刑確定者が,死刑の具体的執行方法等を記載した
書籍を閲覧し,その具体的執行方法を把握した場合,上記抵抗行為は刑
場の具体的状況や死刑の具体的執行方法を踏まえ,より強度なものとな
るおそれがあることも明らかである。
また,原告は,平成12年3月1日,刑事事件の第1審において死刑
に処する旨の判決を言い渡されているところ,同年11月21日,名古
屋拘置所内において,殺虫剤を飲用し,自殺を企図している。このこと
から,原告については,絶望感にさいなまれて自暴自棄になったり,極
度に不安定な精神状態に陥ったりするおそれが高く,ささいなことで心
情が不安定になり,自殺や自傷行為に及ぶ可能性が高い人物であると認
められる。
イ そして,本件抹消部分1は,絞首刑の残虐性を立証するため死刑確定
者立会の下で旧大阪拘置所刑場の検証が行われた際の刑場内の写真2枚
及び説明文であり,刑の執行に用いられる

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,1万円及びこれに対する平成28年12月16日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを20分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負
担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。