事件の基本情報
| 裁判所 | 名古屋地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(わ)114 |
| 判決日 | 2020-11-02 |
| 分類 | 民事 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑事訴訟法181条1項、刑法19条1項2号、刑法21条、刑法45条、刑法203条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点 本件の争点は,判示第1の行為(以下「本件犯行」という。)につき, 被告人に殺意が認められるか否かである。 第2 当裁判所の判断 1 一般的に,はさみは包丁のように刃がむき出しになっている刃物と比 較して殺傷能力が低いことは否定できないが,本件はさみは,刃体の長 さが約9センチメートルで,両刃を閉じた状態でもその先端が鋭利な調 理用ばさみであるから,その使い方や受傷部位によっては十分に人の生 命を奪うことが可能であり,弁護人がいうほど危険性が低い刃物ではな い。 被告人は,このような性状を有する本件はさみを,指穴に指を通して, 利き手である右手で逆手に握り,振り下ろすようにして,重要な血管や器 官が集中する頸部,頭部及び左胸並びにその付近等を少なくとも11回 突き刺すなどしている(本件犯行)。特に頭部から頸部にかけての6か所 の傷の長さ(最大約6センチメートル)や深さ(最大約2.5センチメー トル)などからすると,被告人は,相当に強い力でBを刺したり切り付け たりし,その結果,Bの後頭動脈が損傷し,生命の危険が生じ得る1リッ トルを超える出血があったと認められるから,本件犯行は,客観的にみ て,血管を損傷し大量に出血させるなどして死に至らしめる危険性が相 当に高い行為であったといえる。 そして,被告人が主として仰向けのBにまたがるなど優位な体勢で本 件はさみで間近から刺すなどしたことや,その頭部や頸部に6か所の傷 が集中していることに照らすと,被告人は,Bの頭部及び頸部並びにその 付近等に向けて本件はさみを刺すなどしたことが認められる。加えて,自 宅から持参した本件はさみを用いて,前記のとおり,至近距離から相当強 い力で頸部,頭部等を刺すなどしたことにも照らすと,被告人において, 本件犯行がBを死に至らしめる危険性が相当に高い行為であったことの 認識に欠けるところはなく,傷害にとどまらせようとする意識があった とは認められない。 2 被告人は,本件はさみでどの部位を刺しても死ぬ危険性はないと思っ ていたなどと供述するが,被告人が本件はさみの性状や受傷部位を認識 していたことに加え,相当の出血をしているBに対して本件はさみを刺 し続けるなどしたことや,被告人自身も,Bに対して殺されるかもしれ ないという実体験をさせたく,後頭部等を手加減せずに思い切り刺した 旨供述していることなどからすれば,被告人の前記供述は,常識に照ら して,不自然・不合理で信用することができない。 3 したがって,被告人は,少なくともBが死んでも構わないと考え,す なわち,殺意をもって本件犯行に及んだものと認められる。 4 なお,被告人は,Bの学生らに対するアカデミックハラスメントをや めさせるなどその指導方法を改めさせるために本件犯行に及んだ旨供述 し,この供述を前提に,弁護人
主文(判決文より)
被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中170日をその刑に算入する。 名古屋地方検察庁で保管中のはさみの片刃2本(同庁令 和2年領第1262号符号6,7)を没収する。 訴訟費用は被告人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。