医療過誤に基づく損害賠償請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号令和3(ネ)3368
判決日2022-10-31
分類民事
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点 (本件拘束開始の違法性の有無)について
ウ類型の解釈について
a 昭和62年に精神保健福祉法が改正された趣旨に鑑みると、入院患
者の行動制限に関しては、患者の人権擁護の観点に立って必要最小限
度にとどめるべきであり、ウ類型に該当すると認められるのは、真に
必要最小限度の制約である場合でなければならず、精神保健指定医の
単なる合理的な裁量に基づいて認められるものであってはならない。
また、ウ類型においても、人権制約を必要最小限度にとどめなけれ
ばならないとの上記改正の趣旨及び本件告示が発出された趣旨は守ら
なければならないから、ウ類型については、ア類型の著しい切迫性又
はイ類型の顕著性を前提にしつつ、自殺企図、自傷行為、多動及び不
穏に該当しない場合の中から、単に身体の安全に危険が及ぶ場合を除
き、生命にまで危険が及ぶ場合に限り、これを補充的に定めたものと
理解すべきであって、必要最小限の制約を踰越しないために、他の類
型以上に厳格な解釈運用が求められる。
そして、本件告示は、身体拘束が漫然と行われることがないよう
に、医師は頻回の診察を行うことを定めており、頻回とは少なくとも
毎日1回よりも多い頻度を意味するところ、これは、頻回の診察の結
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果、身体拘束の要件を充たさない場合には、身体拘束をやめることが
できるようにしたものであるから、少なくとも身体拘束開始後は、1
日を超えない時間単位で身体拘束の要件を見極め、不要になれば身体
拘束を解くことが求められている。そうすると、本件告示は、身体拘
束開始時においても、長くともそれに先立つ1日を超えない近接した
時間的範囲内の患者の状態から、身体拘束の要件充足性を判断するこ
とを前提としていると解すべきである。本件告示は、身体の拘束とい
う人権制約の必要最小限度の限界として、ア類型の著しい切迫性又は
イ類型の顕著性を定めているのであるから、日を隔てたエピソードは
およそ考慮し得ず、縊首や咬舌、床や壁への頭部の打ち付け等の法益
侵害の高度の可能性を異論なく認識させる外形的行為がある場合(明
証性の要素)においてのみ、その該当性が認められるべきである。
b 精神科病院の管理者が身体拘束の告示基準に従う義務を定めた精神
保健福祉法37条2項は、監督行政機関が、精神科病院管理者及び勤
務医療従事者が本件告示の基準を遵守しているか否かを判断し、告示
基準に従っていない場合には改善を命じる前提として定められた規定
であり、その義務を負う勤務医である精神保健指定医には独自の裁量
権は認められておらず、また、行動制限について複数の選択肢がある
場合には、最も制約の少ない選択肢を選択しなければならないのであ
るから、精神保健指定医において裁量を働かせる余地はない。
本件拘束開始の違法性について
a 一審原告の病識及び

主文(判決文より)

1 一審被告の控訴に基づき、原判決中、一審被告の敗訴部分を取り
消す。
上記取消部分に係る一審原告の請求を棄却する。
2 一審原告の本件控訴を棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審とも一審原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。