傷害致死被告事件

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号平成22(わ)5331
判決日2011-07-22
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点は,①被告人は,Aの首を締めていることを認識していたのか,
②正当防衛ないし誤想防衛が成立するかである。
当裁判所は,被告人には,Aの首を締めていたという認識があったと認めるに足
りる十分な証拠はなく,被告人は,Aの首の辺りを腕で押さえ込み,Aの動きを封
じようとする認識にとどまっていたとの合理的な疑いが残ると判断した上,被告人
は,防衛のため相当な行為をするつもりで誤ってその限度を超えたものであり,防
衛行為が過剰であることを基礎づける事実の認識に欠けていたのであるから,被告
人に対し,Aに対する傷害致死罪の故意責任を問うことはできず,被告人は無罪で
あると判断した。
以下,詳しく論じる。
3 被告人は,Aの首を締めていることを認識していたのか
(1) 検察官調書(乙1号証)の任意性及び信用性について
まず,任意性について検討すると,殺意を否認する供述など,被告人の言い分が
乙1号証に取られている上,被告人の公判供述によっても,一連の取調べで警察官
や検察官が,被告人の主張を受け入れようとせずに供述を押し付けたとか,被告人
が言ってもいないことを調書に取ったとか,被告人が全く反論する意欲のない状態
にあり,これに乗じて警察官や検察官が調書を作成したなどの事実は認められない。
また,ある程度の時間,白井検察官による取調べが行われていることや,取調べを
録音録画したDVDの冒頭部分における白井検察官と被告人との間のやり取りをも
踏まえると,白井検察官が,被告人の警察官調書の内容を引き直して乙1号証を作
成したとか,実質的な取調べは行われていなかったなどの事実は認められない。以
上によれば,乙1号証の任意性を肯定できる。その他,弁護人が主張する諸点は,
いずれも乙1号証の任意性判断に影響を及ぼすものではない。
しかし,信用性については,疑問が残るといわざるを得ない。乙1号証には,被
告人がAとともに倒れ込んだ後,首を3分間くらい締めていたとの記載があるが,
仮に,そのような体勢で被告人がAの首を3分間締め続けていたのであれば,側に
いた被告人の母親Bがそれを止めなかったというのは明らかに不自然である。さら
に,Bの証言は,特段虚偽の事実を述べていることをうかがわせる事情がなく,お
おむね信用できるところ,現に,Bは,けんかを止めようとしてAのTシャツを後
ろからつかんでいると,Aの立っていた力が急に抜けて,その瞬間,被告人とAと
3人一緒に倒れ込んだが,すぐにAの異変に気付き,被告人に腕を放すように言っ
たと証言しており,乙1号証の内容は,このBの証言と矛盾している。この点,検
察官も論告においては,被告人とAがお互いに立ったままの状態で,被告人が約3
分間首を締めていたとの主張をしているところである。したがって,乙1号証のう
ち,被告人がAとともに倒れ込ん

主文(判決文より)

被告人は無罪。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。