損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号平成22(ワ)8281
判決日2011-09-16
分類民事
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及びこれに対する当事者の主張
(1) 亡Eの本件製造所における石綿ばく露の有無及び死亡との間の因果関係
の有無
【原告らの主張】
ア 亡Eを含む作業員は,本件製造所において,船舶の修繕のために,石綿
布を取り外したり,パイプ等を取り替えたりする際,飛散した粉じんを吸
引するなど,様々な機会に様々な形態において石綿粉じんにばく露してい
た。
イ 石綿は,中皮腫の主要な原因物質であり,亡Eは,本件製造所において
船舶の修繕に従事する以外の機会に石綿にばく露していたことはない。
ウ したがって,亡Eが中皮腫にり患し,これにより死亡した原因が,亡E
が本件製造所における石綿粉じんへのばく露であることは明らかである。
【被告の主張】
ア 亡Eが本件製造所で担当していた作業の内容は石綿粉じんを発生させる
ものではなかったから,亡Eが本件製造所での作業において石綿粉じんに
ばく露することはなかった。
イ 亡Eは,本件製造所以外での作業歴を有し,喫煙歴も有しており,これ
らが原因で中皮腫にり患した可能性がある。
ウ したがって,亡Eが中皮腫にり患し,これにより死亡した原因が,本件
製造所における石綿粉じんへのばく露であるとは限らない。
(2) 被告の安全配慮義務違反の有無
【原告らの主張】
ア 予見可能性
石綿の危険性については,各種研究によって順次指摘されており,遅く
とも昭和30頃までには,石綿が発がん性を有することが明らかにされ,
遅くとも同35年ないし45頃までには,石綿と中皮腫の関連性が明らか
にされた。我が国においても,同30年代から石綿粉じんの発がん性,予
防の重要性,環境ばく露の危険性が各種文献等によって指摘されており,
昭和35年にはじん肺法が制定された。
したがって,被告は,亡Eが本件製造所で就労を開始した同42年頃に
は,作業員が石綿にばく露することにより中皮腫や肺がんといった重大な
健康被害を発症する危険性を認識することができたというべきである。
イ 結果回避義務違反
被告は亡Eを本件製造所において船舶の修繕作業に当たらせ,被告の従
業員がその作業の管理監督をしていたなど,被告は,亡Eに対して実質的
に支配を及ぼしていたのであるから,亡Eの生命,身体等を保護するよう
配慮する義務を負っていた。
上記アのとおり,被告は,遅くとも昭和42年頃までには,作業員が石
綿にばく露することにより中皮腫や肺がんといった重大な健康被害を発症
する危険性を認識することができたのであるから,これを回避するため,
亡Eを含む作業員の安全に配慮する義務があったというべきである。しか
しながら,被告は,以下のとおり,(ア) 作業環境管理義務違反,(イ) 作
業条件管理義務違反,(ウ) 健康管理義務違反等の義務違反があり,安全
配慮義務に違反しているというべきである。
(ア

主文(判決文より)

1 被告は,原告Aに対し,2312万2976円及びこれに対する平成
23年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告Bに対し,770万7658円及びこれに対する平成2
3年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告Cに対し,770万7658円及びこれに対する平成2
3年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告は,原告Dに対し,770万7658円及びこれに対する平成2
3年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告らのその余の請求を棄却する。
6 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告らの,その余を被告の各負
担とする。
7 この判決は,第1項から第4項までに限り,仮に執行することができ
る。

出典

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