損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号平成22(ワ)9240
判決日2011-10-25
分類民事
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及びこれに対する当事者の主張
(1) 本件面談における被告の言動が注意義務に反するものであったか
(原告の主張)
ア 被告の産業医としての注意義務
(ア) 産業医は,労働者の健康管理を職務とし,その一環として労働者の
職場復帰の支援又はメンタルヘルスケア・健康相談を行うのであり,メ
ンタルヘルスについても,研修や実習を通じて最低限の知識を習得して
いることが当然に期待される立場にある。
(イ) 本件面談は,被告の産業医としての職務の一環として,原告の職場
復帰の支援又はメンタルヘルスケア・健康相談を目的として行われたも
のであり,被告は,本件面談に先立って,原告が自律神経失調症に罹患
していることも知らされていた。
(ウ) 一般に,自律神経失調症の患者に対する面談において,圧迫的な言
動で患者に接したり,紋切り型の説明をすることは,明らかに不適切で
あるとされるところ,被告は,本件面談において,原告に対し,圧迫的
な言動を避けるべき注意義務を負っていた。
イ 本件面談における被告の言動
(ア) 本件面談において,被告は,原告が封筒に入れて差し出した診断書
を見ることもなく,「君,何の病気やねん。」などと詰問し,「君の症
状は誰にでもあることや。それは病気とは言えへん。薬では治れへん。
病気を作り出してるんは君自身や。それは甘え,いうこっちゃ。」と畳
み掛けた。
(イ) また,原告が,自身の病状について,何の前触れもなく急に不安に
なるなどと述べたところ,被告は,「そんな立派な体して,体力がない
はずないやん。」と決め付け,原告が妻や友人といるときも同じような
症状が出ると説明しても,それを信じようとせず,同席していたC係長
に対し,「確認せなあかんな。」などと,被疑者に対する取調べのよう
な口調で述べた。
(ウ) さらに,被告は,涙を流して泣いている原告に対し,追い討ちをか
けるように,「頑張って自分で治さなあかんで,薬に頼らずに。」と述
べ,「そんな状態が続いとったら,生きとってもおもんないやろが。」
と言い放ち,面談の最後には「頑張りや,ほんまに頑張るんやで。」と
言い残した。
ウ 小括
前記イの被告の言動は,自律神経失調症に罹患している原告に対する言
動として明らかに不適切であり,労働者の面談に当たる産業医の注意義務
に反するものといえる。
(被告の主張)
ア 被告の産業医としての注意義務について
(ア) 産業医は,主治医のように,自らの責任で長期間にわたり直接に労
働者の診断・治療を行っているわけではなく,個々の職員の休職の必要
性や復職の当否について意見を述べるに当たっても,ほぼ主治医の意見
どおりとしている状況にある。
このように,産業医は,患者に対して限定的な関わりを有するに過ぎ
ないのであるから,その注意義務も限定的なものというべきである

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,60万円及びこれに対する平成20年11月26日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを9分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担
とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。