事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成21(わ)6154 |
| 判決日 | 2011-10-31 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点である責任能力の判断は,精神医学上の専門知識を要する事柄で ある。専門家である精神医学者の意見は,前提に問題があったりするなど,こ れを採用できない合理的な事情がない限り,十分に尊重されなければならない。 本件では精神医学者3名による鑑定が存在するので,これらの内容を検討した 上,犯行当時の被告人の責任能力を検討した。 (1) 各鑑定の概要について ア E鑑定の概要 (ア) 精神疾患の内容 DSM-Ⅳ-TR(物質誘発性精神病性障害)の診断基準によれば, 被告人は,犯行当時,覚せい剤により誘発された持続・慢性的な精神病 性障害に罹患していた。これは,F鑑定がいう「覚せい剤精神病」と同 じものと考えてよい。このように判断した理由は,以下のとおりである。 a 被告人は,覚せい剤使用後の平成4年ごろから,「人に見られている, 笑われている」などという被害念慮を持ち続けていたところ,平成1 0年ごろに,過度の疲労から急性精神病状態となり,「みひ」の幻声を 聞いた。覚せい剤に起因する精神病に関しては,覚せい剤をやめた後 でも,非特異的ストレスにより急性精神病状態をきたすこと(逆耐性 現象)が知られており,被告人に幻聴が生じた当時の状況もこれに当 たる。 b 明らかな幻聴は10日ほどで消失している。しかも,この10日間 も通常通り仕事をし,幻声に無理なことを言われれば聞き流しており, その後は,聞く気がなければ聞こえない状態となっている。このよう に,幻聴や妄想による自我への侵襲性が乏しく,妄想にも強さが感じ られない。また,被告人は,病的体験に対する疑いも相当期間抱いて いる。これらは統合失調症の幻覚妄想の特徴に合致しない。 c 被告人は,平成4年ごろから持ち続けていた「人に見られている, 笑われている」という感覚について,原因を考え続けていたところ, 平成10年ごろに「みひ」の声を聞いてからは,それらが「みひ」の せいであると理解し,身体の不調等の不都合なことを「みひ」や「マ ーク」に結びつけて解釈し,妄想を構築していった。このような妄想 構築は,被告人の積極的な思考による二次妄想である。妄想を日常生 活に適合させるという妄想構築であり,統合失調症の妄想の特徴とは 合致しない。 d 面接時における被告人の応答状況等や,犯行に至るまでの被告人の 就労状況等からすれば,被告人には,統合失調症の重要な要素である, 思考の貧困や意欲の欠如,感情の平板化等の陰性症状も,生活能力の
主文(判決文より)
被告人を死刑に処する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。