医業停止処分取消請求事件

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号平成24(行ウ)245
判決日2014-06-06
分類民事
判決文が挙げた条文行政事件訴訟法25条2項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,①本件処分について厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又は
その濫用があるか(争点1)及び②本件処分について厚生労働大臣が医道審議
会の意見を聴いたか(争点2)であり,これらの点についての当事者の主張は
以下のとおりである。
(1)争点1(裁量権の逸脱・濫用)
(原告の主張)
医師の秘密漏示行為であっても,正当な理由があれば,犯罪行為・不法行
為とならず,仮に犯罪行為・不法行為となるとしても,違法性や悪質性が極
めて小さいというべきである。原告は,本件少年が広汎性発達障害であり継
母らに対する殺意を有していなかったと考えていたところ,マスコミの報道
によって本件少年が殺人者であるとの誤った認識が定着し,本件少年の将来
が台無しになることを危惧し,広汎性発達障害に理解のある本件筆者であれ
ば真実を社会に報道してくれると考えて本件行為に及んだものであり,本件
行為は,少年の利益にかない,正当な理由に基づくものというべきである。
本件行為は,世間一般からも悪質であるとは評価されていないし,政府関係
者も,これまで,死刑囚の鑑定書を出版したり,鑑定の際の録音テープをテ
レビ放送に供したりするような露骨な秘密漏示行為を問題としていないこと
からすれば,鑑定医による秘密漏示行為を悪質とは評価していないと考える
ほかない。
本件行為が刑事事件に発展した理由は,本件少年の供述調書等を直接に引
用した「a」と題する書籍(以下「本件書籍」という。)が出版されたこと
にあるところ,本件書籍は,本件筆者が,本件少年の供述調書等を閲覧した
際に,コピーはしないとの約束を破り,原告に無断で当該調書等を写真撮影
した上,そのことを原告に秘したまま執筆したものであり,原告は,本件書
籍の出版に積極的に関与したことはない。悪質なのは,本件筆者及び出版社
の行為であり,本件行為自体ではない。なお,行為の悪質性は,行為時を基
準に判断すべきものであり,大きく報道されたとか告訴されたといった事後
的な事情を考慮すべきではない。
そして,本件行為に対する刑が懲役4月(執行猶予3年)にとどまってい
ることをも考慮すれば,原告については行政処分をすること自体が裁量権の
逸脱・濫用というべきであるが,仮に行政処分が避けられないとしても,戒
告が相当であり,1年間の医業停止は重きに失する。
よって,本件処分は,厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを
濫用するものであり,違法というべきである(なお,厚生労働大臣は,過去
5年間に医道審議会の答申と異なる内容の医業停止等の処分をしていないか
ら,処分の実質的な決定を行っているのは医道審議会であり,その審議に事
実誤認等があれば,処分は違法となるというべきところ,被告は医道審議会

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。