威力業務妨害被告事件

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号平成24(わ)6191
判決日2014-07-04
分類民事
判決文が挙げた条文刑事訴訟法181条1項、刑法21条、刑法25条1項、刑法60条

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点に対する判断】
1 共謀について
⑴ 弁護人は,被告人を含めた現場にいた者たちは,各自の行動は自分で決める,
互いの行動には干渉しないという考え方で行動していたから,本件業務妨害行
為に関する共謀はないと主張し,被告人も同様の供述をする。
⑵ しかし,共謀とは,犯罪の計画を立てて謀議をしたりお互いの役割分担につ
いて協議をしたりすることを意味するのではなく,お互いに協力し合って一緒
に犯行をしようという考えを持ち,そのような考えを通じ合わせていることを
意味している。被告人とその他の現場にいた者たちは,震災がれきの試験焼却
を阻止するため,その説明会の開催に対して抗議しようという共通の目的を持
ち,そのためにお互いに協力し合って行動しようという考えを通じ合わせてい
たと認められるから,そのために具体的にどのような行動を取るかは各自で決
め,お互いの行動には干渉しないという考えを持っていたからといって,共謀
が成立しない訳ではない。
⑶ そして,被告人は,本件説明会を実力で阻止することを意図して現場に行き,
本件当日午後3時30分頃,本件区民ホールの大ホール扉前において,Bや現
場にいた者たちが扉の前に立つ被害者と押し合い,「開けろ」と言いながら扉
をたたいているすぐ横で,被害者を扉に押し付けたり,「開けて」などと言い
ながら扉を複数回激しくたたいたりし,その後も,他の者たちと一緒にパーテ
ーションを外へ運び出すなどしている。そうすると,被告人は,遅くとも午後
3時30分頃の妨害行為の時には,Bなど現場にいた者たちと,協力し合って
一緒に行動するという考えを通じ合わせ,その後の妨害行為の際にも同様の考
えを通じ合わせていたことは明らかである。
⑷ したがって,共謀の事実が認められる。弁護人の主張は理由がない。
2 正当行為の主張について
弁護人は,被告人らの行為は,試験焼却による放射能汚染による健康被害から
被告人らを含む処理施設周辺住民の生命身体を守る目的で行われた正当な行為
であるから違法性がないと主張する。
しかし,試験焼却により処理施設周辺住民に放射能汚染による健康被害が生じ
るのかということ自体,証拠上必ずしも明確ではないが,仮にそのような健康被
害が生じるおそれがあるとしても,これに対しては,被告人らの人格権に基づく
差止め訴訟を行い,仮処分を求めるなど,合法的に試験焼却を阻止する手段は残
されていたのであって,被告人らが本件妨害行為に及ばなければ阻止できないほ
どの緊急状態に置かれていたものではない。
しかも,被告人らの妨害行為は,これが続いていれば本件説明会の開催が困難
になるほど激しいものであって,実力行使によって問題を解決しようとした被告
人の行為が社会通念上相当なものでもない。
弁護人は,説明会は現に開催されているから被告人らの行為に

主文(判決文より)

被告人を懲役8月に処する。
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。
この裁判確定の日から2年間その刑の執行を猶予する。
平成24年12月28日付け起訴状記載の公訴事実については,被告人は無
罪。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。