保護責任者遺棄致死(予備的訴因 重過失致死)被告事件

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号平成26(わ)5311
判決日2016-01-28
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点は,①被害者が低栄養に基づく衰弱によって死亡したものであるか,②
被害者は,平成26年4月頃から同年6月中旬頃までの間,普通の人であれば,
十分な栄養を与えられていないために被害者の生命身体が害されるかもしれな
いと認識する状態(保護を要する状態)になっていたか,③被告人に②の認識,
認容(故意)があったかどうかの3点である。
当裁判所は,被害者が低栄養に基づく衰弱によって死亡したものであり,被
害者は保護を要する状態になっていたが,被告人がそれを認識し認容していた
とまでは認められず,したがって,保護責任者遺棄致死罪は成立しないと判断
した。以下,その理由を説明する。
(2) 争点①(被害者の死因)について
ア 被害者の遺体を解剖してその死因等を鑑定したC医師は,①解剖時の被害
者の身長は96cm で同じ年齢層の児童の中でも平均に近い数値であるにも
かかわらず,その体重は8kgしかなく,これは同じ年齢層の児童100人を
無作為に抽出した中で2.5人目よりも前に位置付けられる数字であって,
極めて痩せているといえること,②腹壁正中にある皮下脂肪の厚さも正常値
より低い数値であったこと,③胸腺も同じ年齢層の女児の約3分の1から4
分の1程度と高度に退縮しており,その原因は数か月にわたるストレスと考
えられ,ストレスの原因として飢餓も考えられること,④被害者の体内の脂
肪細胞も高度に萎縮しており,栄養分が不足していたことが推察されること,
⑤血中アルブミン値も正常値より低い数値であったこと,⑥解剖当時の被害
者の胃には内容物が殆どなかったことなどを根拠に,被害者は低栄養に基づ
く衰弱により多臓器不全を起こして死亡したものであると証言している。C
医師は司法解剖の経験が十分にあると認められる医師であり,その判断過程
や判断内容に不合理な点は特段見られない。
イ 弁護人は,先天性ミオパチーに罹患していた被害者は以前から健常児と比
べて痩せていたことなどを指摘して,解剖時に健常児と比較して痩せている
点は低栄養の根拠にはならない,C医師が指摘する他の数値も低栄養の根拠
にならない,胸腺退縮については他の原因の可能性もあるなどと主張する。
しかし,C医師は,被害者の体格の経年変化や持病なども前提としつつ,体
格,各数値以外の所見や他の死因の可能性をも検討した上で上記見解を述べ
ているから,弁護人の批判は当たらない。弁護人は,解剖時の被害者の結腸
に多量の便が残っていたことや,被害者が死亡直前に自ら起床して浴室に行
き,着替えを行おうとしていたことなどは,低栄養による衰弱死という所見
と整合しないとも主張するが,C医師は,死亡時に結腸内に多量の便が存在
することと低栄養による衰弱死とは必ずしも矛盾しないことを具体的な理由
を付して説明できているし,死亡直前の被害者の行

主文(判決文より)

被告人を禁錮1年6月に処する。
未決勾留日数中240日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。