事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(ワ)2058 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 国家賠償法1条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 本件において,被告の責任及び損害額には争いがなく,争点は,本件各請求 についての遅延損害金の起算点,すなわち損害の発生時期である。 (1) 原告らの主張 ア 不法行為に基づく損害賠償債務は,損害の発生と同時に何らの催告を要 せず遅滞に陥るから,損害の発生時と遅延損害金の起算点は同一である。 原告らが肺がんにり患したことによる損害は,同疾患にり患した時に発 生するから,同時点を遅延損害金の起算点と解すべきである。そして,肺 がんにり患した事実は,医療機関の病理検査によって確定診断がされるも のであり,労災認定がなければ認められないというものではない。したが って,本件各請求についての遅延損害金の起算点は,医療機関による肺が んの確定診断日とするのが相当である。 イ 被告は,大阪高裁判決が,石綿肺を発症した患者に関する判示の中で, 患者が最も重い行政上の決定を受けた日又は当該患者が石綿関連疾患によ り死亡した日を遅延損害金の起算点と解すべきと判示したことから,同判 示が肺がんを含めた石綿関連疾患全般について妥当する旨主張する。 しかし,上記判示は,石綿肺を含むじん肺が特異な進行性の疾患であり 診断が難しく,じん肺にり患した事実やその損害の質はこれらに関する行 政上の決定がなければ通常は認め難いという特質に鑑みて,じん肺にり患 した者の損害賠償請求に係る遅延損害金の起算点を確定診断日に代えて行 政上の決定(管理区分決定)を受けた時と判断したものと解するのが相当 であるところ,前記アのとおり,肺がんり患の事実は通常は医療機関の行 う病理検査により確定的に診断することができるから,じん肺に関する判 示は肺がんにり患した場合の損害に関して妥当するものではない。 また,被告は,大阪高裁判決が,びまん性胸膜肥厚にり患した患者らに ついて行政上の決定があった日を遅延損害金の起算点と判断していること や除斥期間の起算点についての判示からすると,同判決は,石綿関連疾患 については最も重い行政上の決定日又は死亡日を遅延損害金の起算点とし て統一的に理解し,その旨判示していると主張する。 しかし,同判決は,びまん性胸膜肥厚にり患した患者らについて,行政 上の決定があった日よりも前に,医療機関による肺がんの確定診断がされ た事実を認定することができなかったというものにすぎない。また,除斥 期間に関する判示については,被告が指摘する判示部分は,肺がんや中皮 腫についても長い潜伏期間を経て発症する点で石綿肺と同様であることを 述べたものにすぎない。 したがって,被告の主張はいずれも失当である。 ウ 原告らの主張は,大阪高裁判決が肺がんにり患した患者の損害に対する 遅延損害金の起算点を肺がんの確定診断日と判断していることにより裏付 けられる。
主文(判決文より)
1 被告は,原告Aに対し,1265万円及びこれに対する平成20年1 1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,1265万円及びこれに対する平成27年2 月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は,被告に送達された日から14日を経過したときは,第1 項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。