事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(行ウ)128 |
| 判決日 | 2020-03-05 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 民法734条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 本件における主たる争点は,原告が「婚姻の届出をしていないが,事実上婚 姻関係と同様の事情にある者」(厚年法3条2項)に該当し,同法59条1項本 文により遺族厚生年金の支給を受けることができる配偶者に当たるか否かであ る。 4 争点に対する当事者の主張 (原告の主張) 原告とAは,出会ってから死別するまで「事実上の婚姻関係」以外に何らの 関係も差し挟む余地のない完全な夫婦関係を全うしたのであって,その実体は 普通の夫婦と何ら変わらないものであった。原告とAが養子縁組をしたことか ら,近親者間の婚姻禁止の制度(民法734条)との関係が問題となるが,最 高裁判所平成19年3月8日第一小法廷判決・民集61巻2号518頁(以下 「最高裁平成19年判決」という。)は,反倫理性,反公共性が低く,近親者間 における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に 寄与するという厚年法の目的を優先させるべき場合に例外的取扱いがあること を認めており,原告についても遺族厚生年金の支給を認めることが社会通念に 適合するだけでなく,同判決の価値判断にも整合する。 すなわち,原告とAは,Bから原告を妻として入籍することを強く反対され, 民法上認められないことを知らずに,後に許してもらえたときに改めて婚姻の 届出をするつもりで仕方なく養子縁組をしたのであって,単に夫婦生活を開始 する手段,夫婦になるための形式として養子縁組の手続を利用したにすぎず, 実際の養親子関係にあった瞬間は一秒たりとも存在せず,養親子関係を構築す る意図は皆無であったことに加え,実際に結婚式も挙げて最初から夫婦として 生活し,社会からもそのように認識されていたのであるから,不道徳性,反倫 理性,反公共性は極めて低いというべきである。養親子関係が後に男女関係に - 4 - 変化していった場合であれば,一般社会通念上の道徳観や倫理観に抵触するこ とは否定できないが,婚姻関係を開始するに当たり無知から養子縁組手続を行 った場合は,実質的には何ら社会において道徳的,倫理的に非難されるべき理 由はない。 したがって,原告は,「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の 事情にある者」に該当する。 (被告の主張) (1) 「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」と は,社会的には夫婦としての生活関係にありながら,婚姻の届出を欠いてお り,届出さえあれば戸籍上の配偶関係が成立し得る場合をいうところ,法体 系の統一性の観点等に鑑みれば,民法が実質的要件として婚姻を禁止してい る反倫理的な関係(民法734~736条)にある場合には,「婚姻の届出を していないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に該当しないという べきである。 原告とAの関係は,養親子間の婚姻禁止(民法734条,
主文(判決文より)
1 厚生労働大臣が平成29年11月9日付けで原告に対してした遺族 厚生年金不支給決定を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。