傷害致死

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号令和2(わ)1200
判決日2022-12-02
分類民事

この事件の代理人

争点(判決文より)

本件の争点は、乳児の死因が、被告人の暴行による窒息死か否かである。検
察官は、窒息死にみられる(矛盾しない)所見が存在した上、内因性疾患(心
疾患、肺疾患、遺伝子変異等)による突然死は否定されることに加え、被告人
の言動及び乳児の容態急変時の状況から、死因は被告人の暴行による窒息死で
あると主張している。これに対し、弁護人は、窒息を認定するための積極的根
拠がないのに乳児の死因を窒息死と診断した検察官請求証人である医師の意見
が不適切であり、心臓突然死の可能性が否定できず、検察官指摘の被告人の言
動が暴行した人物の言動とはいえないことから、乳児の死因が被告人の暴行に
よる窒息死とは認められないと主張している。
第2 当裁判所の判断
1 乳児が亡くなるまでの事実経過及び乳児に窒息死と矛盾しない急死所見が見
られたことについて
被告人の述べるところによっても、乳児は、平成30年10月13日に出生
し、本件当時、両親である被告人、被告人の当時の妻と生活していたところ、
本件当日の午後9時頃以降、被告人と入浴中に容態が急変し、午後10時頃到
着した救急隊員によって心肺停止状態であることが確認され、救急車で搬送さ
れたものの、午後11時13分頃、搬送先の病院で死亡が確認された事実が明
らかである。
また、乳児には、暗赤色流動性血液、肺の溢血点等の一般的な急死所見が認
められ、これらは窒息死とも心臓突然死とも矛盾しないことは、いずれも豊富
な解剖経験を持つ検察官請求証人であるA医師と弁護人請求証人であるB医師
の意見が一致しており、乳児が急死した点は、上記のような容態急変の状況か
らしても明らかである。
2 客観的な乳児の身体上の所見について
次に、乳児の臓器の切出し作業を行ったC医師は、心臓(外表、弁膜等)・
心臓につながる血管に異常はないが、右心室がやや拡大していたと供述してい
る。
また、乳児の組織標本の検鏡、追加組織検査を行ったD医師は、乳児に高度
の肺出血、心臓右心室の心筋の波状走行(正常な心臓では認められず、急性心
不全等の心臓関連突然死で時々認められる)、心筋の軽度肥大、グレード1
(6段階で最軽度)の肺高血圧所見(肺動脈の中膜の肥厚と血管周囲の線維化)
が認められたものの、病理学的にそれのみで突然死を来すような病変はなかっ
た旨供述している。
C医師及びD医師は、いずれも病理医として豊富な経験や専門的知見を有し
ており、各供述の信用性に疑いを差し挟まなければならないような不合理な点
は存在しない。
3 乳児が窒息死したとするA医師の意見について
⑴ 次に、A医師は、①死因は解剖、検査等による科学的(医学的)証拠及び
警察等の捜査により得られた客観的状況証拠を総合して判断すべきであると
した上で、本件では解剖や検査から考えられる死因を否定することで、可能

主文(判決文より)

被告人は無罪。

出典

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