事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号令和4(ワ)4903
判決日2023-11-30
分類知的財産 / 商標
判決種別判決
判決文が挙げた条文会社法467条
当事者原告 株式会社ヨシノ/被告 株式会社リレーション

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点
(1) 被告標章につき被告に先使用権が認められるか(争点1)
(2) 本件商標権に基づく本訴請求は権利の濫用に当たるか(争点2)
(3) 差止め等の必要性(争点3)
4 当事者の主張
(1) 被告標章につき被告に先使用権が認められるか(争点1)
〔被告の主張〕
ア みと大協は、平成12年から、本件商標及び被告標章と同一の「久宝殿」と
の文字を使用した名称を付した本件会館において、約20年にわたり葬儀業の運営
を継続しており、かかる役務は本件商標の指定役務と同一又は類似のものであって、
みと大協に不正競争の目的は存在しない。そして、以下のとおり、被告標章の長年
にわたる使用により、被告標章がみと大協の葬儀の施行等を表示するものとして、
需要者の間に広く認識されるに至っていた。
すなわち、法32条1項前段の先使用権の要件たる周知性の地理的範囲は、商標
登録の要件となる法4条1項10号の周知性の地理的範囲よりも緩やかに解すべき
であり、取引の実情に応じて具体的に判断するのが相当である。
この点、葬儀の性質上、葬儀会社の需要者は、主として葬儀会館の周辺地域に居
住する者であるといえる。そして、一般に、葬儀会社の商圏は、葬儀会館を中心と
して半径2km程度といわれているから(乙25)、当該地域を周知性の地理的範
囲として、先使用権の有無を判断すべきである。このことは、本件会館における平
成28年から令和2年までの葬儀の全施行件数(567件)のうち、葬儀申込者の
居住地が半径2km圏内に存在する件数が約82%(464件)を占めていること
や、本件会館と同じ地域に存在する同業他社ないし他グループの葬儀会館がおよそ
1kmないし2kmの距離間隔で出店されていることからも裏付けられる。
みと大協は、「久宝殿」の標章を用いて、駅看板や電柱看板の掲示、町内会掲示
板への広告表示、雑誌への広告記事掲載、新聞折込広告の配布等を行っていたから、
被告標章は、原告による商標登録出願時に、本件会館の半径2km程度の地域のみ
ならず、その隣接地域における需要者の間に広く周知されていた。また、平成12
年から令和2年までの約20年間において、みと大協が本件会館で施行した葬儀の
参列者数は、少なくとも8万8000人ないし10万2000人程度(年間440
0人ないし5100人程度)であり、葬儀申込者の居住地は、本件会館の半径2k
m圏内(葬儀会社の一般的な商圏内)に多数存在するほか、その隣接地域にも存在
していることからすると、「久宝殿」の標章は、本件会館の半径2km圏内は当然
のこと、その周辺地域の需要者にも広く周知されていたといえる。
イ 被告は、令和2年7月から同年12月にかけてみと大協からその葬儀業に係
る業務を承継したから、被告には被告標章につき先使用権が認められる(法32条
1項

主文(判決文より)

1 被告は、別紙商標権目録記載の指定役務に係る役務に関し、壁面看板に別紙被
告標章目録記載の標章を付して展示し、又は同標章を付したパンフレット、封筒、
名刺、ホームページを製造し、使用し、展示してはならない。
2 被告は、別紙被告標章目録記載の標章を付した印刷物、看板その他宣伝広告物
を廃棄せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決の第1項は、仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。