業務上過失致死

事件の基本情報

裁判所大阪地方裁判所
事件番号令和3(わ)1097
判決日2024-04-15
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点は、①死亡の機序、②過失、③過失と死亡(傷害)との因果関係である。
第1 前提事実(特に断らない限り、11月と12月の日付は平成29年のものを、
1月と2月の日付は平成30年のものを指す。また、証拠の標目掲記の人物は
名前のみ又は名字と当時の肩書で表示する。)
1 被告人の資格等
被告人は、昭和47年6月27日に医師免許を取得し、外科医や内科医とし
て勤務し、事件当時は、甲病院の内科部長を務め、週に3回、救急外来の内科
を担当していた。また、事件当時までに、中心静脈カテーテルの挿入術の経験
も数多く積んでいた。
2 中心静脈カテーテルとその挿入の手技について
一般に、中心静脈とは、胸腔内にある大静脈、すなわち上大静脈と下大静脈
(横隔膜より頭側)のことを指し、中心静脈カテーテルとは、輸液や薬剤の投
与等のために中心静脈に留置するカテーテルのことである。
中心静脈カテーテルを静脈内に挿入するに当たっては、カテーテルを静脈内
に適切に導入するため、まず先にカテーテルの誘導役となるガイドワイヤを静
脈内に挿入し、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを挿入するが、その際、カテ
ーテルと一緒にガイドワイヤが静脈内に迷入してしまわないように、カテーテ
ルの尾部からガイドワイヤの尾部を出して把持するとともに、カテーテル挿入
後はガイドワイヤを抜去することが基本的な手技とされている。また、カテー
テル挿入後に、レントゲン撮影をしてカテーテルの位置を確認することも基本
的手順とされている。被告人自身もこれらの基本的手技及び手順を理解してい
た。
3 本件ガイドワイヤの構造等
本件ガイドワイヤは、ステンレスでできており、コアワイヤ(芯棒)の周囲
をコイル状のコイルワイヤが覆い、テフロンコーティングされている。
4 甲病院における経過
⑴ Aは、レビー小体型認知症等に罹患し、認知症対応型共同生活介助施設に
入所していたところ、原因不明の褥瘡がひどくなったことから、施設に往診
に来ていた医師の紹介で、11月22日午前10時15分頃、施設職員の付
添いの下、甲病院の外科外来を受診した。Aは、診察室に入ったときから、
喘鳴があり、顔色も悪く、声掛けの反応も弱々しいなど、全身状態が悪かっ
たことから、内科担当から連絡を受けた被告人の指示により、同日午前10
時30分頃、救急処置室に運ばれた。その後、Aは、酸素飽和度が85%ま
で低下して、呼吸停止に至ったが、痰を吸引した後、呼吸が回復した。
⑵ 被告人が救急処置室に到着したとき、Aには呼吸障害や意識障害が出てい
た。被告人は、Aの栄養状態が悪く、また、心停止した場合の投薬などのた
め同日午前11時50分頃から、Aの右鼠径部からガイドワイヤと中心静脈
カテーテルを挿入した。その際、ガイドワイヤを抜去するのを失念し、Aの
体内に遺残した。(なお

主文(判決文より)

被告人を禁錮1年に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。