事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(ワ)919 |
| 判決日 | 2025-09-25 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 民法709条、民法717条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 ⑴ 責任原因 ア 本件事務室の設置又は保存に瑕疵があったか(主位的請求、争点①) 10 イ 被告のCに対する安全配慮義務違反があったか(予備的請求、争点②) ⑵ 瑕疵又は安全配慮義務違反とCの死亡との因果関係(争点③) ⑶ 損害額(争点④) 3 争点に関する当事者の主張 ⑴ 争点①(本件事務室の設置又は保存に瑕疵があったか)について 15 (原告らの主張) 被告は、午後10時から午前9時までの夜間の時間帯に、Cを本件施設に おいて一人で勤務させていた。 本件施設には、本件事件当時、認知症や精神障害を抱えた高齢者を中心と する多数の入居者がいたことに加え、本件施設の自立の入居者であるGは、 20 本件事件前に、粗暴な言動等をし、他の入居者や被告の職員に対する本件接 触事件や本件傷害事件を起こしていた。 上記の事情に照らすと、本件事件当時、本件施設の入居者が、本件事務室 において夜勤中の職員に危害を加える危険があったというべきである。した がって、上記危険に備え、本件事務室には、扉に内鍵を付け、来訪者をその 25 場で確認するための設備や防犯チェーン、防犯ベル等の警報装置を設置すべ きであったが、これらが設置されていなかったから本件事務室は通常有すべ - 4 - き安全性を欠き、設置又は保存に瑕疵があったというべきである。 (被告及び被告補助参加人の主張) 否認し争う。 自立の入居者であるGがCを殺害するという危険は通常予想される危険と 5 はいえない。 本件事務室には、内側から鍵を掛けられる電子錠が設けられており、扉の 外に設置された防犯カメラの画像を映すモニターが設置されていた上、電話 機や消防署への通報ブザーも設置されていた。したがって、本件事務室は入 居者に介護サービスを提供する事務所として通常有すべき安全性を備えてお 10 り、設置又は保存の瑕疵は存在しない。 ⑵ 争点②(被告のCに対する安全配慮義務違反があったか)について (原告らの主張) ア 被告は、労働契約に基づき、職員であるCに対して、雇用主として安全 配慮義務を負う。 15 そして、原告らが⑴において主張した、Cの勤務態様、本件施設の状況 及び本件事件前のGの行動に照らせば、被告は、本件施設の入居者を含む 本件事務室への来訪者が、本件事務室内にいる被告の職員に危害を加える ことを予見できたというべきである。 そうすると、被告は、Cを含む被告の職員に対して、雇用主としての安 20 全配慮義務として、具体的には次の①~③のような義務を負っていたとい うべきである。 ① 本件事務室の扉に内鍵を付け、来訪者をその場で確認するための防犯 カメラ等を設置することに加え、本件事務室に来訪者があった場合には その様子を小窓等により確認し、用件を確認した上で、安全であれば内 25 鍵だけを開錠する手順を
主文(判決文より)
1 原告らの主位的請求をいずれも棄却する。 2 被告は、原告Aに対し、1972万6999円及びこれに対する令和3年 11月△日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 5 3 被告は、原告Bに対し、1972万1472円及びこれに対する令和3年 11月△日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 4 原告Bのその余の予備的請求を棄却する。 5 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を除く。)は被告の負担とし、補助 参加によって生じた費用は被告補助参加人の負担とする。 10 6 この判決は、第2項及び第3項に限り、仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。