労災保険遺族補償給付等不支給処分取消請求事件(通称 中央労基署長遺族補償等不支給処分取消)

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成19(行ウ)790
判決日2010-04-15
分類労働

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
原告の本件疾病発症の業務起因性
(原告の主張)
(1) 業務起因性の判断枠組み
最高裁判決が共通して判示する業務起因性(相当因果関係の存在)の判断
要件は,①被災労働者の従事した業務が,その基礎疾患を自然経過を超えて
増悪させる要因となり得る負荷(過重負荷)のある業務であったと認められ
ること,②被災労働者の基礎疾患が確たる発症の危険因子がなくても,その
自然経過により本件疾病を発症させる直前まで増悪していなかったと認めら
れること,③被災労働者には他に確たる発症増悪因子はないことの3要件で
ある。本件でも,上記枠組みに従って業務起因性を判断すべきである。
(2) 業務の過重性
死亡前6か月間の時間外労働は,平成9年5月134.5時間,同年4月
135.0時間,同年3月141.0時間,同年2月118.5時間,同年
1月124. 5時間,平成8年12月152.5時間という長時間である。
業務内容は,政治部で首相官邸記者クラブ三席として官邸取材を行い,ペ
ルー大使館人質事件,首相訪米への同行等,精神的負担は極めて重かった。
特に首相の訪米等同行取材は身体的負荷の大きく,著しい精神的緊張を伴う
非常に過酷な業務であった。Aは,平成9年4月24日〜同年5月1日の首
相訪米同行取材により,強い身体的・精神的ストレスを受けた。
(3) 糖尿病の発症,増悪,本件疾病の発症
本件疾病は,糖尿病に罹患する者がインスリン作用欠乏により発症する合
併症である。過労の身体的・精神的ストレスによりインスリン拮抗ホルモン
が産生され,本件疾病を発症することは医学的に明らかである。すなわち本
件疾病は,インスリン不足,インスリン拮抗ホルモンの亢進による高血糖に
より,さらなる高血糖となるとともに,ケトン体が体内に蓄積してアシドー
シスとなり発症する。過重労働による身体的・精神的負荷は,インスリン拮
抗ホルモンの亢進をもたらす。そこで,身体的,精神的ストレスにより,イ
ンスリン拮抗ホルモン(カテコールアミン等)が分泌され,糖尿病が増悪し,
本件疾病を発症させるに至る。D医師意見書,糖尿病に関する医学文献でも,
糖尿病の増悪,本件疾病発症とストレスが関係するとの医学的知見が明確に
されている。
(4) Aの糖尿病,本件疾病発症について
Aが,糖尿病を発症したのは,健康診断を受診した平成8年5月29日以
後であり,入院時(平成9年6月1日)のHbA1c値等からは,その3,
4か月前と認められる。健康状態の推移,死亡までの病態によれば,死亡の
約1か月前から糖尿病が急性増悪していた。
Aの発症した糖尿病は,1型の可能性が高いが,2型の可能性も否定でき
ない。2型は,発症にも急性増悪にも,心身のストレスが大きく関与する。
Aは,糖尿病を発症するまでに,月100時間超の時間外労働に継続して従

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。