遺族補償給付不支給処分取消等請求事件(通称 新宿労基署長遺族補償等不支給処分取消)

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成20(行ウ)279
判決日2010-10-18
分類労働
判決種別決定

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点及び当事者の主張
被災者の自殺の業務起因性
(原告の主張)
(1) 業務が過重であったこと
被災者は経理課で,主として本件会社のグループ会社を含めた資金業務を
担当していたが,同業務は,会社の存立にかかわる重要な業務であり,1円
単位まで適切に管理する必要から細かな神経を使わなければならず,負担の
大きい業務であった。また,被災者は,遅くとも平成11年4月以降,b課
長に命じられて,上記資金業務に加え,余剰資金対策の検討や資金システム
等の業務の改善に関する業務,資金業務の一般職への移管をはじめとする業
務遂行体制の改善,収支計画,決算処理等の会計業務も担当するようになり,
仕事内容の大きな変化があった。中でも,コンピュータの資金システムの容
量を増大する作業は,著しく困難なものであり,休日出勤や極めて長時間の
時間外労働をもたらす要因となったが,b課長は,被災者を厳しく叱責する
対応に終始し,援助や配慮をしなかった。
このように,b課長からノルマとして命じられた業務は過大であり,それ
を円滑に達成できないことが被災者に非常に大きな心理的負担を与えた。
(2) 恒常的な長時間労働
被災者は,経理課に配属されて以来,恒常的な長時間労働に従事しており,
被災者の従事していた業務は,時間的側面においても著しく過重であった。
特に,平成▲年▲月の時間外労働時間は130時間,自殺した同月▲日まで
の休日は1日間,15日間の連続勤務で,本件会社に泊まった日もある等極
めて過酷な労働実態であったし,通勤時間が片道1時間半以上であって,生
理的に最低限必要な睡眠時間すら確保されない状況であった。
平成11年1月~7月の間の被災者の時間外労働時間は次のとおりであ
る。
時間外労働時間数(月平均時間外労働時間)
平成11年7月 130時間35分
平成11年6月 108時間 2分(119時間18分)
平成11年5月 77時間26分(105時間21分)
平成11年4月 102時間37分(104時間40分)
平成11年3月 69時間 4分 (97時間32分)
平成11年2月 64時間 8分 (91時間58分)
平成11年1月 50時間29分 (86時間 3分)
(3) b課長による虐待行為
b課長は,被災者に対し,平成10年秋ころから,被災者から仕事を取り
上げるような発言を繰り返したり,嫌がらせのための業務を命じる等し,平
成11年6,7月ころ,他の課員の面前で恒常的に罵倒,暴言を繰り返すよ
うになった。その発言内容は,上司の部下に対する指導と捉えられるもので
はなく,被災者がこれまで長年にわたって経理業務を行ってきたキャリアや
能力,さらには人格を否定するもの,被災者に対する嫌悪の感情の発露とい
うべきものであった。同年7月には,他の社員もいる場所で大声で「辞表を
出せ

主文(判決文より)

1 新宿労働基準監督署長が原告に対し平成15年2月3日付けでした
労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料を支給しない
旨の処分を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。