特許料納付書却下処分取消請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成22(行ウ)527
判決日2011-07-01
分類知的財産 / 特許
判決種別判決
判決文が挙げた条文特許法28条、特許法112条、特許法112条4項
当事者原告 三菱商事株式会社

この事件の代理人

  • 大野聖二(原告代理人)/第一東京弁護士会
  • 森 寿明(被告代理人)/第二東京弁護士会

争点(判決文より)

争点
本件特許権に係る第11年分の特許料及び割増特許料を追納期間内に追納す
ることができなかったことにつき,原告に特許法112条の2第1項所定の
「その責めに帰することができない理由」があったか。
4 争点に関する当事者の主張
(1) 原告
ア 特許法112条の2第1項の「その責めに帰することができない理由」
の解釈
(ア) 特許権の回復について定める特許法112条の2の規定は,平成6年
改正特許法(平成6年法律第116号)で新設された。
その趣旨は,パリ条約5条の2第2項で「同盟国は,料金の不納によ
り効力を失った特許の回復について定めることができる。」と規定され
ており,諸外国ではこのパリ条約の規定に沿った立法がされているとこ
ろ,我が国においても特許回復の制度を認めるべきであるとの要望が国
内外から寄せられ,特許料の不納により失効した特許権の回復を認める
制度を設けることが適当であるとされたことによるものである。
- 3 -
知的財産法の分野では制度の国際的調和が強く要求されており,特許
法112条の2が定められた上記趣旨も制度の国際的調和を考慮したも
のであることに鑑みれば,特許法112条の2第1項における「その責
めに帰することができない理由」の意義を解釈するに当たっても,かか
る国際的調和の観点を考慮しなければならない。
(イ) 諸外国においては,以下のとおり,特許料の遅延納付により効力を失
った特許権の回復について,条理にかなった規定が設けられている。
a 米国特許法
米国特許法施行規則1.378(a)項では,①特許料の遅延納付が避
けられないものであった(unavoidable),又は②故意でなかった
(unintentional)場合には,特許料の遅延納付が認められる旨規定さ
れている。
そして,上記①に関して,同(b)項には,特許権者が特許料の未納
付の事実を知った後,直ちに遅延納付の手続を行うとともに「特許料
が期間内に支払われることを確保するために相当の注意(reasonable
care)が払われていた」ことを立証すれば,遅延納付が認められる旨
規定され,上記②に関する同(c)項には,「遅延納付が故意でなかっ
た」ことの陳述とともに,6か月の追納期間が経過した後24月以内
に遅延納付の申立てを行うことが必要である旨規定されている。
すなわち,米国特許法においては,特許料納付につき相当の注意が
払われていた場合,あるいは追納期間の経過後24月以内に申立てを
行うことで,特許権が回復することが定められている。
b 欧州特許条約
欧州特許条約122条及び規則51条によれば,状況によって必要
とされる相当の注意(all due care)を払ったにもかかわらず,特許
料を期間内に納付できなかった場合に,割増特許料を納付することに
- 4 -

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。