事件の基本情報
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成23(ワ)33071 |
| 判決日 | 2013-03-14 |
| 分類 | 知的財産 / 著作 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 民法709条、著作権法112条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は,①原告の著作権の侵害の成否,②原告の著作者人格権の侵害 の成否,③被告らの故意又は過失の有無,④原告の損害の額である。 (1) 争点①(原告の著作権の侵害の成否)について ア 被告各記述は原告各記述を複製又は翻案したものか否か (原告の主張) 原告書籍は,本件事故で夫を亡くした原告の体験を基に,事故の惨状と 遺族の戸惑いや驚がく,悲しみ,喪失感等,肉親を悲惨な大事故で失った 遺族でなければ遭遇することのない精神的な苦悩を創造的な言葉で著述 したものである。原告書籍は,ノンフィクションに属するが,客観的事実 や歴史的事実を対象から距離を取った外部の視点から伝えるだけでなく, - 3 - 本件事故で夫を失うという壮絶な体験から沸き上がる感情や思想を具体 的表現にまで昇華させたものであり,創作性が発揮されている。そうであ るから,原告各記述は,別紙対比表の原告の主張欄記載のとおり,思想又 は感情を創作的に表現したものであって,文芸の範囲に属するものであ り,著作物に当たる。 そして,被告各記述は,主語を「私」から「A」に換えたほかは,原告 各記述をほぼ引き写しているから,別紙対比表の原告主張欄記載のとお り,原告各記述の表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,被告各記述に 接する者が上記特徴を直接感得することのできるものである。 さらに,被告Bは,前記の前提事実(2)のとおり,原告各記述に依拠して 被告各記述を著述した。 したがって,被告各記述は,原告各記述を複製又は翻案したものである。 (被告Bの主張) 被告書籍は,実際に起きた出来事とそれに関係する当事者が抱いた思想 や感情を取り扱うノンフィクションに属し,創作性を発揮する余地が少な い。そうであるから,被告各記述は,別紙対比表の被告らの主張欄記載の とおり,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自 体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,原告各記述と同一 性があるにすぎない。 したがって,被告各記述は,原告各記述を複製又は翻案したものでない。 (被告集英社の主張) 原告の主張は否認又は争う。 - 4 - イ 被告Bは複製又は翻案及び譲渡に係る利用の許諾を得たか否か (被告らの主張) 被告Bは,被告書籍を著述するために,平成22年5月24日,原告宅 を訪ね,原告に対して本件事故に関する取材を行った。しかし,原告は, 本件事故から約25年という長い年月が経過し,記憶が多々曖昧になって いたので,「ここ見て下さい。」,「(ここに)書いてあります。」など と述べて原告書籍の該当部分を示し,記憶を喚起しながら回答していた。 そこで,被告Bは,「今日のお話とここ(本)に書かれている事実を正確 に記述させてもらうので,ご安心ください。」と述べて,原告の了解を得 るとともに,原告から原
主文(判決文より)
1 被告らは,第3章(113頁ないし160頁)を含む別紙書籍目録記 載の書籍を複製し,頒布してはならない。 2 被告らは,第3章(113頁ないし160頁)を含む別紙書籍目録記 載の書籍を廃棄せよ。 3 被告らは,原告に対し,連帯して58万1416円及びこれに対する 平成23年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を 支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを8分し,その1を被告らの連帯負担とし,その余 を原告の負担とする。 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。