事件の基本情報
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成25(ワ)13598 |
| 判決日 | 2013-11-22 |
| 分類 | 知的財産 / 著作 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 著作権法112条、著作権法115条 |
この事件の代理人
- 伊藤真(原告代理人)/第二東京弁護士会
争点(判決文より)
争点 (1) 本件映画が本件漫画を翻案(映画化)したものであるか(争点1) (2) 著作権法112条に基づく差止・廃棄請求の成否(争点2) (3) 不法行為に基づく損害賠償請求の成否及び損害額(争点3) (4) 著作権法115条に基づく名誉回復等の措置請求の成否(争点4) 3 争点に関する当事者の主張 (1) 本件映画が本件漫画を翻案(映画化)したものであるか(争点1) (原告の主張) ア 本件映画と本件漫画は,別紙原告対比表のとおり,その基本的なストー リーや多くの台詞がほぼ同一であるのみならず,その登場人物名まで一致 しており,本件漫画の表現上の本質的特徴を直接感得できるものである。 イ 著作権法における「依拠性」とは,偶然の符合ではなく,既存の著作物 の表現上の本質的特徴部分に接して,それを維持した著作物が創作されれ ば足りるものである。 被告は,劇団の演劇に基づいて本件映画を製作したと主張している。仮 に被告の主張するとおり,真に被告が本件漫画を見たことがないのだとし ても,本件漫画の二次的著作物である演劇には,本件漫画の表現上の本質 的特徴部分が維持されており,被告はこれに接して,本件映画の製作に至 っているのであるから,本件映画が本件漫画に「依拠して」創作されたも のであることには変わりがない。 ウ 以上によれば,本件映画は本件漫画を翻案(映画化)したものである。 (被告の主張) ア 原告の主張はいずれも否認する。 イ 被告は,本件漫画を見たことがない。本件映画は,本件漫画の映画化と して製作していないので,本件漫画に依拠したものではない。被告は,劇 団の演劇に基づいて本件映画を製作したものである。 ウ 原告は,基本的なストーリーや多くの台詞がほぼ同一と主張している。 しかし,ストーリーは設定であり,本件漫画の中で描かれている「縁側」 「家族の会話」などの設定がほぼ同一であることにより著作権侵害になる ならば,似た設定のドラマ,映画,アニメ,小説など世の中に出ている創 作物はほとんどが著作権侵害になってしまう。台詞に関しても全てが一致 しているのでなく,原告の主張する「ほぼ」とは抽象的であり,主観でし かない。原告の主張には,登場人物名まで一致とあるが,「裕子」などは 作り出された架空の名前でもなく広く一般的にありふれた名前であり,一 致しているとしても著作権侵害にならない。 映画は台詞のみではなく,構図,サイズ,撮影場所,編集点,音楽タイ トルなどが複合されて初めて作品として成立する。それらを含めて判断し なければ本質的特徴部分が維持されているとはいえない。 (2) 著作権法112条に基づく差止・廃棄請求の成否(争点2) (原告の主張) ア 本件漫画の二次的著作物である本件映画の本件各映画祭における上映は, 原著作物である本件漫画の著作者である
主文(判決文より)
1 被告は,別紙被告作品目録記載の映画を上映してはならない。 2 被告は,その占有に係る別紙被告作品目録記載の映画が記録された映画フィ ルム及び電磁的記録媒体を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,金64万円及びこれに対する平成25年6月1日から 支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担 とする。 6 この判決は,1項から3項までに限り,仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。