遺族厚生年金不支給決定取消等請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成26(行ウ)502
判決日2016-02-26
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法752条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び争点についての当事者の主張
本件における争点は,aの死亡当時,原告がaによって生計を維持していた
といえるか否か(厚年法59条1項。以下「生計維持要件」という。)であり,
具体的には,(ⅰ)本件につき本件認定基準3「生計同一に関する認定要件」の
(1)「認定の要件」①(以下「生計同一要件」という。)を適用すべきか否か,
(ⅱ)本件は生計同一要件を充足するか否か,(ⅲ)本件は本件認定基準1(1)た
だし書(以下「例外条項」という。)に該当するか否かである。
(原告の主張の要旨)
(1) 生計維持要件の解釈等
ア 厚生年金制度は,厚年法1条の目的に従い,法人事業者に対して加入を
義務付けている制度であり,労働者の老後の拠り所となる制度である。し
たがって,厚年法に基づく遺族厚生年金の支給要件は,「遺族の生活の安
定と福祉の向上」という同法の目的に照らして実質的な解釈がされるべき
であり,形式的かつ狭義の解釈は認められない。
厚年法は,具体的な支給要件を同法施行令に委任しており(同法59条
4項),同法の「その者によって生計を維持したもの」(同条1項)とい
う要件を「その者と生計を同じくしていた者」(同法施行令3条の10)
としているが,政令は,法の趣旨に反してはならないから,厚年法施行令
の「その者と生計を同じくしていた者」も,同法に従って同義に解釈・運
用されなければならない。
イ 本件認定基準の生計同一要件について
本件認定基準の生計同一要件は,厚年法の定める生活維持関係に比し,
極めて限定的であり,そのごく一部を切り取っているにすぎない。この要
件は,事実婚,重婚的内縁関係に適用されるべきものであり,法律婚の配
偶者に関する規定ではない。
すなわち,法律婚である夫婦においては,民法上,扶養義務があり(民
法752条),通常は,相互に生計を維持しており,生計維持関係が存在
することとなり,実質的に離婚状態にない限りは,法的義務からも社会通
念上も生計維持関係が認められる。他方,事実婚の配偶者とは,「婚姻の
届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」(厚年法3
条2項)であり,厚年法上も,単なる内縁関係や事実婚を超えて,法律婚
と同様の事情にある者のみ遺族としての「配偶者」と認められる。しかる
に,生計同一要件は,事実婚や重婚的内縁関係における認定の判断基準と
して策定されてきたものである。事実婚関係においては,法律婚のように
扶養義務に基づく生計維持関係がないからこそ,どのような基準で生計を
維持しているものと認めるかという問題を解決するため,本件認定基準を
含む通達により,「生計維持関係」の要件を具体化させるために「生計同
一」の基準を設けることとなったのである。
そして,法律婚の場合につき,「生計同一」のみを判断基準として厚年
法の

主文(判決文より)

1 処分行政庁が原告に対し平成25年3月6日付けでした遺族厚生年金
を支給しない旨の決定を取り消す。
2 処分行政庁は,原告に対し,平成24年8月14日受付に係る遺族厚生
年金の支給裁定をせよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。