累積無事故表彰金請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成28(ワ)7361
判決日2016-12-26
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文労働基準法90条、労働契約法9条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び当事者の主張
(1) 本件表彰制度の廃止は,就業規則の変更による労働条件の不利益変更に当
たり,労働契約法9条,10条が適用されるか否か。
【原告ら】
本件表彰制度は,副賞の支給条件等が本件賞罰規程で詳細かつ明確に定められて
おり,平成25年7月に中止されるまで,条件を満たす対象者全員に副賞が支払わ
れていたものであるから,上記副賞は,任意的恩恵的な給付ではなく,労働の対償
としての賃金に当たる。
したがって,本件表彰制度の廃止は,就業規則の変更による労働条件の不利益変
更に当たり,労働契約法9条,10条が適用され,取締役会で上記制度を事実上廃
止することも許されない。
【被告】
本件表彰制度は,被告の運転者の事故を減らすため,累積無事故達成者に対し,
表彰状を授与して表彰することを主目的として設置されたものであり,副賞である
金員及び記念品の授与は任意的かつ恩恵的なものである上,運転者が事故に遭うか
否かは偶然の要素もあることからして,上記金品は労働の対償たる賃金ではない。
また,被告は,本件表彰制度において,事業所長が候補者を業務部長に申請し,業
務部長が審査の上で役員会(規程上は本部長会)に付議し,役員会が当該労働者の
経歴や社内の状況等を総合勘案して表彰するか否かを決定していたところ,累積無
事故達成者が表彰されるか否かは役員会の判断に委ねられていたのであり,当然に
上記副賞が授与されるものではなかった。
したがって,本件賞罰規程の変更が就業規則の変更に当たるとしても,本件表彰
制度の廃止は,労働条件の不利益変更に当たらず,労働契約法9条,10条の適用
はない。
(2) 本件表彰制度の廃止に係る本件賞罰規程の変更は合理的なものか否か。
【被告】
被告は,平成25年7月1日,東京都環境局が実施する「貨物輸送評価制度」(二
酸化炭素削減等の環境負荷低減の取組を進めている貨物運送事業者を実走行燃費等
で評価する施策)において,被告の従業員らが記録した数値が実際の数値と大きく
乖離するなどの不祥事が発覚して失格と判定されたことから,従業員らの無事故申
告に対する信頼も失い,従業員らの風紀を正すことを目的として,同月開催の取締
役会で本件表彰制度を事実上廃止し,平成27年4月1日,本件賞罰規程からも削
除したものであり,本件表彰制度の廃止に係る本件賞罰規程の変更には合理性があ
る。
【原告ら】
被告は,本件表彰制度廃止に係る賞罰規程の変更について,過半数代表者への意
見聴取(労働基準法90条)を行っていない上,東京都環境局が実施する「貨物輸
送評価制度」において,被告が失格となったからといって,本件表彰制度を廃止す
る理由とはならず,被告にとって従業員の事故の把握も容易であるから,本件表彰
制度の廃止に係る本件賞罰規程の変更には合理性がない。

主文(判決文より)

1 被告は,原告Aに対し,50万円及びこれに対する平成27年10月1日か
ら支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告Bに対し,35万円及びこれに対する平成27年11月1日か
ら支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,被告の負担とする。
4 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。