旅券返納命令及び渡航先制限取消請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成27(行ウ)462
判決日2017-04-19
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文憲法21条1項、憲法22条2項、憲法31条、行政手続法2条4号、行政手続法13条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
(1) 本件第1処分の実体法上の違憲性・違法性(裁量権の逸脱・濫用)
(2) 本件第1処分の手続上の違憲性・違法性(聴聞の不実施)
(3) 本件第2処分の本件制限部分に係る実体法上の違憲性・違法性(裁量権
の逸脱・濫用)
(4) 本件第2処分の本件制限部分に係る手続上の違憲性・違法性(聴聞の不
実施)
4 当事者の主張
(1) 争点(1)(本件第1処分の実体法上の違憲性・違法性)について
(原告の主張)
原告は,平成27年2月27日にトルコに渡航した上,トルコ国内に拠点
を置きつつ,シリアに入国し,トルコとの国境付近のコバニに限って取材を
行うことを計画していたものであるところ,当時のコバニは,武装したクル
ド人民兵組織の管理下にあり,同組織においてジャーナリストを対象とした
プレスツアーが催行され,P1新聞をはじめとする報道機関の記者等も実際
にこれに参加し,無事に取材を終えていたこと,原告としてはあくまで現地
で安全と判断できた場合に限って取材を行う意向であったこと等からすれば,
原告が渡航することにより,原告の生命や身体に危害が及ぶ具体的危険性は
存在せず,旅券法19条1項4号に規定する事由は存しなかったというべき
である。それにもかかわらず,外務大臣は,先に生じていた邦人の拘束,殺
害事件に関して政権が批判を受けていたところ,更に同様の事件が生じるこ
とをおそれ,政権の保身を目的として首相官邸の主導で本件第1処分をした
ものであって,かかる処分は,原告の報道の自由,取材の自由及び海外渡航
の自由を侵害し,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するもので違憲かつ
違法である。
(被告の主張)
原告が渡航しようとしていた当時のシリア国内の情勢は,各地で反政府勢
力や過激派武装勢力による武力衝突や襲撃,拉致等が発生しており,原告が
取材先であると主張するコバニにおいても情勢はなお安定していなかったと
いうべきである上,原告の取材先はコバニに限定されたものではなかったこ
と,原告については,その渡航時期や取材ルート等を明らかにした顔写真付
きの記事が報道されており,過激派組織がインターネット等を通じ,この情
報を踏まえて原告の拉致等を企てるおそれも否定できない状況にあったこと
等に照らせば,原告がトルコやシリアに渡航すれば,その生命・身体に危険
が及ぶおそれが高く,渡航を中止させる必要性が強く認められた。また,原
告は外務省領事局職員から渡航を中止するよう繰り返し説得されたにもかか
わらず,これに応じず,その渡航意思は強固であったことからすれば,旅券
を返納させる以外の手段によって原告の渡航を中止させることは困難であっ
たから,旅券を返納させる必要性も認められた。したがって,外務大臣は,
原告について旅券法19条1項4号に規定する事由が認められ,旅券を返納

主文(判決文より)

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。