旅館業法に関する地位確認請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号平成28(行ウ)569
判決日2017-06-01
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文憲法22条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
(1) 本件訴えに確認の利益があるか否か。
(2) 本件民泊提供行為を行うに際して営業許可を要するか否か。
4 争点に関する当事者の主張
(1) 争点(1)(確認の利益の有無)について
(原告の主張)
ア 即時確定の利益
(ア) 本件民泊提供行為は,職業選択の自由や営業の自由などの憲法22
条1項で保障される基本的人権に含まれるものであり,旅館業法は基本
的人権を制約する法律である。
旅館業法においては,無許可営業者に対して調査や指導といった行政
処分ではない行政活動によって是正が図られており,無許可営業者に対
する行政処分を想定した規定は存在しないところ,実質的当事者訴訟に
おいて法律の解釈や憲法適合性を争うことができないとすれば,これを
争うことができるのは刑事事件の場しかない。しかし,有罪の可能性を
はらんだ起訴をされるのは,それだけで市民にとって耐え難い苦痛であ
り,法律の解釈や憲法適合性をテストするためには起訴されなければな
らないというのは酷である。他方,旅館業法のような不明確な内容の法
律に抵触することを避けようとすれば,営業活動について自己規制を余
儀なくされ,このような萎縮効果は,職業選択の自由や営業の自由を保
障した憲法の趣旨に反し,基本的人権が十分に保障されないことになる。
したがって,市民の側からすれば,法的に不安定な状況が早期に解消
されるべく,事前に法の解釈の適否や憲法適合性について裁判所の公権
的な解釈を求める必要性が高く,行政の側からみても,かかる裁判所の
公権的な解釈があれば,法律違反による指導や処罰を行うという無益な
損失を避け,限られた人的・経済的・物的リソースを有用に活用できる。
抗告訴訟が十分に機能してこなかった行政活動に対する救済を目的とし
て立法された実質的当事者訴訟の制度趣旨にも鑑みれば,本件訴えの確
認の利益を否定することは,裁判所が法の番人としての責務ないし権限
を放棄して,原告に対し,法令違反による不利益の危険を冒すか,主観
的には権利とみなす行為をあきらめるかという究極の選択を強制する結
果になり,このようなジレンマを市民に課すことは憲法を最高法規とし
て体系化された文明的な法制度の下では許されない。
(イ) 本件においては,原告は,本件民泊提供行為を行うために,本件計
画を具体的に計画・立案して,江東区保健所に相談に赴いたのであって,
被告が,営業許可が不要であるとの見解を示せば,速やかに本件民泊提
供行為を開始していたが,現在,原告がこれを開始するに至っていない
のは,被告が,営業許可が必要である,無許可営業の場合,逮捕・起訴
の可能性があるとの見解を示したことによる。原告は,実際に,逮捕・
勾留・起訴され刑事罰を受ける危険を冒すか,自己規制することにより
職業選択の自由ないし営業の自由という

主文(判決文より)

1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。