事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成23(行コ)152 |
| 判決日 | 2012-04-26 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 所得税法33条、特許法35条、特許法35条3項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及び当事者の主張は,後記 3に当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」 の第2の2及び3並びに第3の1及び2に記載のとおりであるから,これを引 用する。 3 当審における控訴人の主張 (1) 譲渡所得の要件について 原判決は「資産の所有権そのほかの権利が相手方に移転する機会に一時に 実現した所得であること」が譲渡所得の要件であるとするが,法令上そのよ うな定めはない。同解釈は通達を無批判に前提とするものであって,法令の 解釈として相当ではない。 ア 譲渡所得課税の趣旨と譲渡所得の要件 被控訴人及び原判決は,上記のように解する理由として,譲渡所得税が 資産の増加益(キャピタルゲイン)に対して課税する趣旨であることをあ げる。しかし,譲渡所得税が増加益に対する課税であることから,譲渡所 得税に当たるためには資産の所有権等が相手方に移転する機会に一時に実 現した所得であることを要することにはならない。ある資産を譲渡した際, その所得が段階的に実現する場合であっても,当該所得が資産の価値を実 現したもの(対価)である限り,それらはすべて資産の値上がり益と評価 されるのであって,これを譲渡所得とすることが,増加益課税の趣旨に合 致する。 所得税法33条は「譲渡所得とは,資産の譲渡……による所得をい う。」と定め,「譲渡の時の所得」,「譲渡に際し一時に取得した所得」 とは定めていない。控訴人の本件特許を受ける権利が「資産」であり,控 訴人がAに対しこれを「譲渡」し,その「相当の対価」として本件和解金 を取得したのであって本件和解金は当然譲渡所得に区分される。増加益課 税であることから,法が定めない「譲渡に際し一時に実現した所得」とい - 2 - う要件を創出し,本件和解金が譲渡所得に当たることを否定するのは租税 法律主義に反するものである。増加益課税は譲渡所得課税の趣旨であって, 増加益でなければ譲渡所得に該当しないというものではない。この点につ き,最高裁平成18年4月20日判例タイムズ1212号81頁も「所得 税法上,抽象的に発生している資産の増加益そのものが課税の対象となっ ているわけではなく,原則として,資産の譲渡により実現した所得が課税 の対象となっているものである。」と判断した。 増加益課税という趣旨から,資産の譲渡であるのに譲渡所得に該当しな いと判断することはできない。 イ 課税の公平 原判決は,複数年度にわたり資産の取得費を控除するのは二重控除にな り課税の公平性を害することから「譲渡に際し一時に実現した所得」であ ることが必要であるとするが,職務発明においては,譲渡人が権利を取得 しあるいは使用者に権利を承継させるために費用を支出することは考えら れないから,結局,50万円の特別控除を複数回控除することが許される かとい
主文(判決文より)
1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。