行政文書不開示決定取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成21年(行ウ)第198号)

事件の基本情報

裁判所大阪高等裁判所
事件番号平成23(行コ)165
判決日2012-11-29
分類行政
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点」,「争点に関する当事者の
主張」は,後記3の「当審における控訴人の補充主張」及び後記4の「当審に
おける被控訴人の補充主張」を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の
第2の1~4の記載のとおりであるから,これを引用する。
3 当審における控訴人の補充主張
(1) 事業場名が情報公開法5条1号所定の不開示情報に該当することについ
て
ア 情報公開法5条1号は,個人に関する情報について,いわゆるモザイク
・アプローチの手法を採用し,当該情報単独では特定の個人を識別するこ
とができなくても,他の情報と照合することにより特定の個人を識別する
ことができるものも不開示情報として,個人識別情報の保護に万全を期し
ている。他方,情報公開請求権は何人にも認められ,開示請求の目的も問
われない。そうすると,個人情報の保護に万全を期するという情報公開法
5条1号の趣旨に照らせば,照合の対象となる「他の情報」は,一般人が
通常入手しうる情報に限定されるものではなく,当該個人の近親者や同僚,
知人,周辺住民等の特定範疇の者が保有し,あるいは入手しうる情報も含
まれると解するべきである(個人情報がこれら特定範疇の者との関係で保
護されなくてよいという理由はない。)。
- 2 -
イ 情報公開法5条1号及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法
律(平成15年法律第58号。以下「行政機関個人情報保護法」とい
う。)2条2項は,不開示情報である個人識別情報に,他の情報と容易に
照合することができることを要件としていない。
これに対し,個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。
以下「個人情報保護法」という。)2条1項は,同法の個人情報の意義に
ついて,「他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人
を識別することができることとなるものを含む。」と規定している。
この相違は,個人情報保護法が営業の自由を有する民間企業をも規制の
対象としていることから,取得等が規制される個人情報の範囲を広げすぎ
ると,営業活動に支障が生じかねないのに対し,情報公開法及び行政機関
個人情報保護法が対象とする行政文書の保有主体である行政機関について
は,営業の自由に配慮する必要がなく,むしろ,行政機関の保有する個人
情報の保護を厚くする必要があることに基づくものである。
原判決のように,照合の対象となる「他の情報」の範囲を一般人が通常
入手しうる情報に限定するとすれば,情報公開法5条1号が個人情報の保
護を十全にする趣旨で照合の容易性をあえて要件としていない趣旨が没却
される。
ウ 本件では,処理経過簿中の監督署名,職種,業種,疾患名,支給年月日
等の情報が既に公にされていることから,これら情報と,当該被災労働者
の近親者のほか,同僚や取引先関係者などが保有し,入手しうる情報

主文(判決文より)

1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 上記部分につき,被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。