事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和3(ワ)2157
判決日2021-07-20
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項、著作権法23条、著作権法28条
当事者被告 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社

この事件の代理人

  • 平野敬(原告代理人)/第二東京弁護士会
  • 横山経通(被告代理人)/第二東京弁護士会

争点(判決文より)

争点(1)(権利侵害の明白性)について
(原告の主張)
ア 原告は,本件漫画の原作者であり,原著作者として本件漫画につき著作
権を行使できるところ(著作権法28条),氏名不詳者は,ビットトレント
を用いて,不特定多数者からの要求に応じて,本件データをアップロード
送信した。したがって,氏名不詳者が原告の著作権(公衆送信権)を侵害
したことは明らかであり,違法性を阻却する事由も存在しない。
イ ビットトレントはいわゆるP2Pソフトであるが,その特徴として,違
法な共有行為を防ぐため,意図的に匿名性が排除され,どのIPアドレス
の端末がどの電子データを共有しているかを誰もが容易に知ることができ
るように設計されている。そこで,原告は,実際にビットトレントを利用
して本件データをダウンロードすることにより,本件データの提供者(ピ
ア)を調査したところ,別紙発信端末目録記載のIPアドレスから本件デ
ータが送信されていることが判明したのである。このような原告の調査方
法に誤りがないことは,次の実例からも明らかである。
すなわち,原告訴訟代理人弁護士は,本件と同様の調査に基づき,別の
漫画家の漫画の不正共有に関して,被告に対し,発信者情報開示請求をし
たところ,被告は,任意に発信者情報を開示し,かつ,開示された各発信
者において,ビットトレント使用及び漫画共有の事実を争う発信者は一人
もいなかった。
また,原告訴訟代理人弁護士は,上記のほかにも,同様の調査方法によ
り特定された発信者を被告として,複数の訴訟を提起したが,これまでビ
ットトレント使用及び漫画共有の事実を争う発信者は一人もおらず,発信
者の取り違えといった事態は一切生じていない(甲18,19,21)。
(被告の主張)
原告は,ビットトレントを用いて,原告の公衆送信権を侵害したとする通
信に割り当てられたIPアドレスを特定しているが,かかる特定方法に関す
る技術的な根拠等は主張されておらず,その信用性には疑義がある。したが
って,別紙発信端末目録記載のIPアドレスによる通信記録が,侵害情報に
係る通信の通信記録であることが明らかであるとはいえない。
(2) 争点(2)(発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無)について
(原告の主張)
原告は,氏名不詳者に対して損害賠償等を請求するため,本件発信者情報の
開示を求めるものであり,正当理由の要件を充足している。
(被告の主張)
争う。

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。