損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和2(ワ)27337
判決日2021-10-06
分類民事
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及びこれに関する当事者の主張
⑴ 本件記載による名誉毀損の成否(争点1)について
(原告の主張)
ア 本件記載が摘示する事実について
本件記事は,本件記者会見における原告の発言から一部を断片的に取り
上げるとともに,本件記者会見における原告の様子を「血色も良く健康状
態は問題なし」と評価した上で,本件記載で結んでいる。
本件記載にいう「人質ビジネス」とは,人質を取り身代金を得ることを
指すところ,上述のとおり,本件記事があたかも拘束下における原告の待
遇が良かったかのように述べていること,本件記載が悪い事実の存在を推
定することを意味する「邪推」という語を用いていること,及び,本件記
載が「謎だらけ」であることの帰結として「人質ビジネス」ではないかと
推測していることの各点に照らせば,本件記載は,原告が「人質ビジネス」
をしている側,すなわち,人質を取り身代金を得る側に加担していたとの
事実を摘示するものである。
イ 社会的評価の低下について
「人質ビジネス」が極めて卑劣な犯罪行為であることはいうまでもない
ため,原告がこれを行う側に加担していたとの事実の摘示は,明らかに原
告の社会的評価を低下させる。
また,シリアで拘束されたはずの原告が「人質ビジネス」に加担してい
たとなれば,必然的に,真実は人質でないにもかかわらず,人質に取られ
たふりをして身代金の名目で金銭を得ようとしていたということになり,
原告を心配した人々を裏切ったことになるのであるから,原告の社会的評
価の低下は一層深刻である。
被告は,本件記事による名誉毀損が受忍限度内にあるというが,免責要
件を主張立証することすらないのであって,かかる主張はそれ自体失当で
ある。
(被告の主張)
ア 本件記載が摘示する事実について
一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,本件記載は,原告が主
張するような意味合いではなく,原告の安易な取材姿勢への批判であると
理解されるものである。原告が3年余りの間,拘束されて極めて不自由な
生活を余儀なくされていたことは事実であり,原告がかかる生活を好んで
行っていたと考える者などいない。本件記載は,一言でいえば,原告が武
装勢力に捕らわれたと受け止められてきたが,実は武装勢力ではなく「人
質ビジネス」を行う集団に捕らえられていたのではないのかと指摘するに
すぎない。
「邪推」とは正しくない推定を意味し,それが事実でないことを前提と
する場合に使われる語であるから,本件記載は原告の主張する摘示事実を
摘示するものではない。
原告が中東地域において武装勢力により拘束されたのは本件が初めてで
はない。原告は,平成15年3月にイラク共和国(以下「イラク」とい
う。)の軍に拘束されたほか,平成16年4月にもイラクで武装勢力に拘
束された。原告は,そのような経験を有しな

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,33万円及びこれに対する平成30年11月26日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを10分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負
担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。