弁護士報酬請求控訴,同附帯控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成24年(行ウ)第101号)

事件の基本情報

裁判所大阪高等裁判所
事件番号平成25(行コ)139等
判決日2014-01-23
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法172条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点を判断するための前提となる事実で,当事者間に争いがないか,
証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実は,原判決の「事実及び理
由」第2の2(原判決2頁14行目から10頁4行目まで)に記載のとおりで
あるから,これを引用する。
3 争点及びこれに関する当事者の主張
(1) 争点及びこれに関する当事者の主張は,次のとおり原判決を補正し,(2)
のとおり控訴人の当審補充主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」
第2の3ないし7(原判決10頁5行目から15頁13行目まで)に記載の
とおりであるから,これを引用する。
ア 原判決12頁16行目の「阿部弁護士が」の次に「被控訴人らの訴訟代
理人として」を加え,同頁16・17行目の「本件における」を「本件に
おいて」に改める。
イ 同14頁8行目の「重複」を「重複して」に改める。
(2) 控訴人の当審補充主張
ア 12項請求権に適用される消滅時効の規定(争点1)
地方自治法236条は,行政処分等により大量に画一的に発生する債権
債務に適用されると解すべきであるところ,12項請求権は被控訴人らの
勝訴の確定により抽象的に発生はするものの一義的に額が定まるわけでは
なく,発生頻度も他の地方公共団体に係る債権債務に比べて格段に少ない。
12項請求権よりも格段に発生量が多く画一性の要素が強い公立病院の診
察料・治療費や水道の使用料に係る債権でさえ同条の適用がないのである
から,12項請求権には同条の適用はあり得ない。
民法172条1項は,弁護士の職務に関する債権であれば,弁護士の依
頼者に対する債権に限らず適用され,また,住民訴訟における住民側代理
人弁護士と地方公共団体とは実質的には弁護士と依頼者との関係にあるこ
とからすれば,12項請求権には同条項が適用ないし類推適用されるとい
うべきである。
イ 弁護士報酬請求権の債務の承認の有無(争点2)
弁護士は,委任事務を処理する場合には,委任の趣旨に関する依頼者の
意思を尊重してその自己決定権を十分に保障するため,依頼者に対し適切
な説明をする義務を負い,本件の場合,阿部弁護士は,被控訴人らに対し,
弁護士報酬請求権の時効が完成していること,時効を援用する場合と援用
せずに債務を承認する場合のメリット・デメリット等について,弁護士に
通常要求され得る知識に基づいて誠実に説明を果たすべき義務を負ってい
た。しかしながら,時効を援用せずに不必要な公金支出を招くことが被控
訴人らの真意にかなうとはいえないことなどからすれば,阿部弁護士は,
被控訴人らに対し,上記説明義務を果たさず,弁護士報酬請求権の時効の
完成を秘匿して本件訴訟の訴訟委任状を作成させたものと推認され,上記
訴訟委任をもって債務の承認があったとはいえない。
ウ 12項請求権の行使が権利濫用か(争点3)

主文(判決文より)

1 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。
2 原判決主文第1項を次のとおり更正する。
「控訴人は,被控訴人ら各自に対し,400万円及びこれに対する
平成24年1月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支
払え。」
3 控訴費用は控訴人の,附帯控訴費用は被控訴人らの各負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。