損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和2(ワ)4920
判決日2023-01-25
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法224条、憲法13条、民法766条1項、民法818条3項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
⑴ 子の連れ去りを防ぐ法規制に係る国会の立法不作為の違法性(争点1)
⑵ 原告らの損害(争点2)
4 争点1(子の連れ去りを防ぐ法規制に係る国会の立法不作為の違法性)に関
する当事者の主張
(原告らの主張)
下記⑴のとおり、日本には、子の連れ去りを防ぐ法規制が存在せず、国会は、
かかる立法を怠っている(以下「本件立法不作為」という。)。
そして、下記⑵のとおり、本件立法不作為は、国民に憲法上保障されている
権利を制約している。さらに、下記⑶のとおり、本件立法不作為は、国民に憲
法上保障されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規
定に明白に違反するものであり、そうであるにもかかわらず、国会は、正当な
理由なく長期にわたって立法措置を怠っている。
したがって、本件立法不作為は、国賠法1条1項の適用上、違法である。
⑴ 子の連れ去りを防ぐ法規制が存在しないこと
ア 刑事法
日本には、子の連れ去りを処罰する刑事法が存在しない。
なお、未成年者拐取罪(略取又は誘拐罪。刑法224条)は、暴行、脅
迫等を伴わず、かつ両親と同居している子を単に連れ去る行為には適用さ
れないと解されており、子の連れ去りを処罰する刑事法には当たらない。
イ 民事法
日本には、子の連れ去りを違法とする民事法が存在しない。民法上、子
の親権及び監護権を定める際に子を連れ去った者が不利になる規定、その
他一方親による子の連れ去りを違法とする旨の規定はなく、民法766条
1項には、面会交流が拒否された場合の執行規定や罰則規定が設けられて
いない。
裁判実務上も、離婚後単独親権制度の下、親権者又は主たる監護者の選
択に際し、別居後の監護の継続性を重視する判断がされており、連れ去ら
れた側が親権・監護権の獲得に際して不当に不利な立場におかれている。
ウ 親権の行使に係る手続規定
民法818条3項本文は、「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して
行う。」と規定する一方で、父母の意見が一致しない場合の手続規定を何
ら設けていない。仮に、その手続規定が設けられていれば、子の連れ去り
が発生しても手続規定により問題が解決されることになるため、子の連れ
去りを行う意味が失われることになる。そうすると、その手続規定を設け
ることは、子の連れ去りを防ぐ法規制であるといえる。
エ 小括
したがって、日本には、子の連れ去りを防ぐ法規制が存在しない。
なお、子の連れ去りを一律に違法とする立法が相当でないのであれば、
例えば、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「ハーグ条
約」という。)13条bと同様に、子の虐待や配偶者間の暴力がある場合
の連れ去りを例外的に適法とするなどの規定を設ければ足りる。逆にいえ
ば、ハーグ条約が上記例外を除いた子の連れ去りを一律に違法としている
ことからすると、

主文(判決文より)

1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。