発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する 異議事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和5(ワ)70032
判決日2023-06-22
分類民事 / 著作
判決種別判決
当事者原告 株式会社NTTドコモ

この事件の代理人

  • 加藤瑛子(原告代理人)/第二東京弁護士会
  • 神田知宏(被告代理人)/第二東京弁護士会

争点(判決文より)

争点
(1) 権利侵害の明白性(争点 1)
(2) 本件直前ログイン時通信の「侵害関連通信」(法 5 条 3 項)該当性(争点 2)
(3) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点 3)
3 争点に対する当事者の主張
(1) 争点 1(権利侵害の明白性)
〔被告の主張〕
本件写真は被告の自撮り写真であり、被告が著作権を有する。しかるに、本件投
稿は、被告の許諾なく、本件サイトに本件写真をアップロードした。これにより被
告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。
〔原告の主張〕
本件写真は、自撮りとしてはありふれた構図であり、著作物性を有するとはいい
きれない。したがって、本件投稿が被告の著作権(公衆送信権)を侵害するとはい
いきれない。
(2) 争点 2(本件直前ログイン時通信の「侵害関連通信」(法 5 条 3 項)該当性)
〔被告の主張〕
「侵害関連通信」について定める規則 5 条の「侵害情報の送信と相当の関連性を
有する」の解釈につき、侵害情報の送信と最も時間的に近接して行われたものに拘
泥する必要はない。最も時間的に近接する通信から発信者を特定することが困難で
あることが明らかであり、特定発信者情報の開示請求権を創設した趣旨に照らし、
「侵害関連通信」の範囲を当該通信のみに限定することが適切ではないと考えられ
る場合には、最も時間的に近接する通信以外の通信も、「侵害情報の送信と相当の関
連性を有するもの」になり得ると解される。
本件の場合、本件投稿と最も時間的に近接する通信である本件直後ログイン時通
信について、原告は、同時刻に複数の記録があり契約者を特定できないとしている
ことから、その発信者を特定することが困難であることは明らかである。したがっ
て、本件においては、本件直前ログイン時通信が「侵害情報の送信と相当の関連性
を有する」「侵害関連通信」であり、その発信者情報の開示が認められるべきである。
〔原告の主張〕
「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」との要件は、被害者の権利回復の利
益と発信者のプライバシー及び表現の自由、通信の秘密との均衡を図る観点から、
「侵害関連通信」に該当する通信を必要最小限度の範囲に限定するものである。ま
た、特定電気通信役務提供者は、侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求され
た場合、通信記録を保有するのみで投稿内容等の個別具体的な事情を認識し得ない
中で開示の可否を判断しなければならない。これらの事情を踏まえると、「侵害関連
通信」の意味合いについては、画一的な基準を示すものとして解釈されなければな
らない。したがって、「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」として「侵害関連
通信」に該当し得るログイン時の通信は、侵害情報の送信と最も時間的に近接して
行われたもの 1 つに限定されるべき

主文(判決文より)

1 当事者間の東京地方裁判所令和 4 年(発チ)第 10032 号発信者情報開示命令
申立事件について、同裁判所が令和 5 年 1 月 4 日にした決定を認可する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。