事件の基本情報
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和4(ワ)19088 |
| 判決日 | 2023-07-28 |
| 分類 | 民事 / 著作 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | プロバイダ責任制限法2条3項 |
| 当事者 | 原告 株式会社ホットエンターテイメント/被告 KDDI株式会社 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
本件の争点は、本件調査結果の信用性である。 (原告の主張) ビットトレントの仕組みによれば、ビットトレントのクライアントソフトウェ アがダウンロードされている端末がインターネットに接続され、当該端末が他の 利用者からファイルを受信している間は、同時に、公衆たる他の利用者からの求 めに応じて当該端末は自動的に他の利用者の端末へファイルを送信している。そ して、本件発信者は、ビットトレントを利用して他のビットトレントの利用者と 本件動画を送受信しており、このことで、本件動画は送信可能化状態にされ、か つ、自動公衆送信されているから、本件発信者は、原告の著作権(送信可能化権 及び自動公衆送信権)を侵害していることは明らかである。 被告は、本件調査会社は、本件ソフトの開発者ではないし,本件調査を専門技 術者が行ったかどうかも不明であるとして本件調査結果の信用性を争うが、本件 ソフトは、ビットトレントを製作した会社が製作したクライアントソフトウェア であり、誰もが同じように使用できるものであり、正確である。 また、IPアドレスの表示があるということは、ネットワークに接続している ことを意味し、何らかの通信状態になっているのであり、本件調査の際に撮影さ れた動画によっても、50分間以上、IPアドレスに変化がないことなどからす ると、被告が主張するようなIPアドレスの割り当て変更により、ビットトレン トの使用者でない者に割り当てられたIPアドレスが本件発信者として表示され るとも考え難い。 なお、本件調査の際、調査担当者は本件動画と本件調査会社がダウンロードし たデータを見比べて、その同一性を確認している。 したがって、本件調査結果が信用できることは明らかである。 (被告の主張) 本件調査会社は、本件ソフトの開発者ではなく、本件調査を専門技術者が行っ たかどうかも不明であり、本件調査会社の作成した資料が本件調査結果の信頼性 を裏付けるものとはいえない。 また、被告が契約者に割り当てるIPアドレスは固定されているとは限らず、 秒単位でIPアドレスを割り当てる契約者を変更することがあるが、本件調査結 果が秒単位で正確な日時を特定しているかは不明である。 さらに、市販のソフトウェアによりIPアドレスを変更することは可能であり、 ビットトレントにおいてIPアドレス等の暗号化や偽装の介入する余地がないと はいえない。 そして、原告は、ビットトレントを通じてアップロード可能な状態に置かれた ファイルのデータが本件動画のデータと同一である旨の立証をしていない。 したがって、本件調査結果が信用できるとはいえず、本件発信者が本件動画を 送信可能化及び自動公衆送信したことが明らかであるとはいえない。
主文(判決文より)
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。