事件の基本情報
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和1合(わ)219 |
| 判決日 | 2023-10-20 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は責任能力の有無である。 本件において、起訴前(平成31(2019)年4月から令和元(2019)年 6月)に精神科医Bによる精神鑑定が行われ(以下「第1鑑定」という。)、被告人 は、B医師による問診時に、本件犯行そのものや、本件犯行に密接に関係する事項 をB医師に語ることがなく、B医師は、犯行時及び犯行前において精神疾患の有意 な影響は認められないと鑑定した。ところが、起訴後、公判前整理手続が進められ ている最中に、弁護人は、被告人が本件について語り始めたので新たな供述を踏ま えた鑑定が必要であるとして、鑑定請求をした。そこで、当裁判所は、改めてB医 師に対して鑑定を依頼した(以下「第2鑑定」という。)。B医師は、令和3(20 21)年12月、第2鑑定に着手し、以後7回にわたって問診(1回当たり1時間 半から2時間程度)を行い、①被告人が本件犯行について第1鑑定では説明してい なかった事柄を語ったこと、②被告人の実父から新たに情報を得たこと、③それら を踏まえて、改めて一件記録等を精査したことにより、第1鑑定とは異なる結論に 至ったとする。すなわち、B医師は、第2鑑定の結論として、被告人は、平成30 (2018)年7月頃以前に統合失調症を発症し、その頃から電子ハラスメントを 受けているという妄想や幻聴があり、自分自身、妻である被害者、2歳の息子が殺 されるという妄想があった、被害者が息子を連れて家を出た同年8月以降、統合失 調症が更に悪化し、本件行為時には、被害者を殺害しなければ、被害者と息子は拷 問されて殺されるという強固な妄想が基盤にあり、幻聴や思考障害の強い影響を受 け、被告人は、被害者と息子への切迫した危険があると確信し、その危険から逃れ るためには被害者を殺害するしかないと確信し、本件行為に至ったと述べている。 検察官は、第2鑑定時における被告人の供述が信用できないから、第2鑑定の前 提事実に誤りがあり、第2鑑定が信用できないと主張し、第1鑑定に依拠して、完 全責任能力があったと主張する。 当裁判所は、B医師の第2鑑定が信用でき、被告人は、本件行為当時、統合失調 症の精神症状としての妄想・幻聴の症状があり、本件事実関係に照らして、被告人 は、その妄想・幻聴の圧倒的影響により本件行為を行ったものとして、心神喪失の 状態にあったと判断した。以下、そのように判断した理由を説明する。 第2 判断理由 1 妄想・幻聴の存在 妄想・幻聴をうかがわせる事実 各項末尾に掲げた証拠によれば、以下の事実が認められ、このような被告人の言 動は、平成30(2018)年以降に、被告人に、現実に基づかない何らかの妄想 が生じていたことを推認させる(なお、被告人の実父〔以下単に「実父」と略称す ることがある。〕の証言は、他の証拠関係とも整合的で、証言の一部は被告人のパ
主文(判決文より)
本件各公訴事実について、被告人は無罪。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。