高齢者虐待防止法に基づく保護処分取消請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和2(行ウ)121
判決日2023-11-16
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文行政事件訴訟法21条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は、被告が本件緊急一時保護を実施したこと及び本件各措置等を
したことが国賠法1条1項の適用上違法であるか否かであり、争点に関する当
事者の主張の要旨は、以下のとおりである。
(原告の主張の要旨)
⑴ 本件緊急一時保護及び本件各措置等は法的根拠を欠くこと
本件要綱は、高齢者虐待防止法とは別に、被告独自の緊急一時保護制度に
つき、一般的な行政上の行為の観点から定められたものであるから、緊急一
時保護は、飽くまで被告区長の一般的権限の範囲で行われるべきものである。
そして、本件緊急一時保護及び本件各措置等は、いずれも一般的行政権限を
はるかに超えるものであり、本件要綱に基づいて実施することができるもの
とはいえないから、違法というほかない。
⑵ 虐待の事実及び緊急性はなかったこと
以下のとおり、本件緊急一時保護が実施された時点において、原告による
虐待の事実及びAの生命又は身体に危険が生じているおそれはなく、本件緊
急一時保護及び本件各措置等は、高齢者虐待防止法9条2項の要件を満たさ
ないものであったから、違法である。
ア 診療録等から虐待の事実を認定することはできないこと
介護事業者が作成した報告書やD病院の診療録等の記載は、事実に反す
る部分があり、信用することはできないから、これらの診療録等から原告
の虐待行為があったと認定することはできない。
イ 身体的虐待について
高齢者虐待防止法における「虐待」とは刑法上の暴行と同義であると
ころ、不適切な介護はこれに当たらないし、原告がAに暴行を加えた事
実もない。
本件熱傷事故は、過失行為に該当するかはともかく、刑法上の暴行に
該当しないことは明白である。また、C病院は、被告からの照会に対し、
本件熱傷事故については虐待の形跡がない旨回答している。
D病院の診療録には、原告がAに対して無理やり食事を口に入れるな
どの行為をしたものとは記載されていない。また、Aが吐いたといって
も、食べ切れずに口に含んでいた食物を口から吐き出したものにすぎな
い。さらに、原告が、D病院に入院中のAに対し、肉まんやあんまん、
抹茶アイス等を持ち込んで食べさせたことは事実であるが、Aがそれま
で食事を誤えんしたことは一度もなかった上、C病院においては、とろ
み食ではなくきざみ食が提供され、持込み食に係る制限もなかったこと
からすれば、原告がAにとろみ食以外のものを食べさせたからといって、
直ちにAがのどを詰まらせるというものではない。
したがって、Aの食事に係る原告の行為は、不法な有形力の行使に当
たるものではないし、Aに対して外傷を生じ又は生じさせるおそれがあ
る行為であるともいえない。

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。